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2006年02月 アーカイブ

2006年02月02日

ITmediaニュー

ITmediaニュース:開発者が語る“ポストWinny”:
 解決策の1つとして小倉弁護士は、ソフト開発に“いつでも引き返せる仕組み”があればいいと話す。開発したソフトに有効期限を付けておき、社会にマイナス影響を与えると分かった時点で有効期限の更新をやめ、ソフトを使えなくする——といったアイデアだ。

ソフトウェアに寿命をつけておくという考え方。あるいは消滅装置内蔵のソフトウェアというイメージ。掘り下げて考えるとおもしろそうな主題だ。

『ブレードランナー』のレプリカントたちの問いと通じるか。

変わる建築/デザイン教育

日本建築学会の雑誌『建築雑誌』の2006年2月号のp.39,「連載|変わる建築/デザイン教育」に拙稿「国際建築ワークショップ」が掲載されました。これまでの仙台,モンペリエ,メルボルン,仙台2と毎年続けてきたワークショップの報告です。紙幅の限りもあって,事実の列挙にとどまる地味な記事になっておりますがご笑覧いただければ幸いです。

対面の記事で,仙台2のシンポジウムにも来ていただいた大野秀敏さんが「キャッチアップ型の留学」から「コミュニケーション能力開発型」の国際交流へ,とまとめておられますが,我々の国際建築ワークショップも,まさしくそのようなものであろうと思われます。

2006年02月03日

一字違い

東急ホテルズ - おしらせ

気の毒な。

ボブ・スミス

2ちゃんねる観測衛星:原文と和訳

すげえ

2006年02月04日

Team YAHOO! JAPAN

Team YAHOO! JAPAN 誕生!!-[自転車ニュース&トピックス]-CycleStyle.net:
YAHOO!JAPANが日本人選手による自転車ロードレースのチームを作り、ツール・ド・フランス出場を目指すことが1月27日、分かった。
おお 監督は浅田顕。福島兄弟が参加。 メカはアンカー,マビック,シマノ。 ぜひがんばってもらいたい!

2006年02月06日

『あったかもしれない日本』

を読む。

橋爪 紳也,『あったかもしれない日本―幻の都市建築史』紀伊国屋書店,2005

昭和15年の東京オリンピック,関東大震災のモニュメント,琵琶湖大運河,臨海東京市庁舎などなど,実現されなかった都市プロジェクトを淡々と紹介する「未建築史・都市計画未遂史」。淡々とした筆致が妙に印象に残るのは,研究対象になった様々な史料を満たしていたに違いない大袈裟で声高な調子とのギャップを想像してしまうからかもしれない。

慰霊塔,空港,オリンピック,万博などの大計画が次々と頓挫していく。見通しの甘さ,合意形成の失敗,技術革新による計画そのものの陳腐化。成功にドラマがあるように,失敗にもドラマがあり,そのいずれもが定型化されている。

たとえば,甲子園球場周辺は阪神電鉄の郊外開発によって作られた。スタジアムが完成した大正13年の干支の「きのえね」であったことから「甲子園」と名付けられたが,計画段階では「紅洲大競技場」と呼ばれ,実現したものよりもずっと大規模な一大遊興地であった。「紅洲」はベニスと読む。もちろんヴェネチアのことだ。「阪神の事業担当者は,アメリカ人が抱いた「イタリアへの憧れ」をそのままに,日本に輸入しようとしたのではないか。(中略)今日のテーマパークに通じる発想が,すでに大正時代には,アメリカから輸入されていたということだろう。(p.74)」

昭和15年の東京オリンピックの競技場建設をめぐる議論の迷走も興味深い。昭和11年,IOC総会で東京はヘルシンキに競り勝ち,昭和15年大会の開催地となる。帝都は熱狂。だが,会場が決まらない。埋め立てたものの使途の定まらないでいた月島を使う案は牛塚東京市長が強く推すが風が強いので無理。代々木練兵場を総合大運動場とする案は「陸軍に於いて譲渡不可能なる趣」で断念。スケールは大分小さくなって,神宮外苑の既存競技場を改築して対応する案におさまろうとするが,内務省神社局が「国民の浄財で造営された記念物」である外苑の改造に反対する。他にはもう場所がないのでなんとか頼むという組織委員会の訴えに対し,内務省神社局は「希望十項目」を飲めば認めるとタガをはめる。だが,計画を詰めてみると外苑の競技場の改修ではスタンドを大きく出来ずオリンピックスタジアムの基準を満たすことができない。結局外苑案は放棄され,最終案は世田谷の駒沢ゴルフ場跡地。資材確保が困難な中,一部木造でのスタジアムの設計などが試みられる。しかし,昭和13年7月,オリンピック返上が閣議決定される。盧溝橋事件からちょうど一年がすぎたころであった。

このように,昭和15年と昭和39年,ふたつの東京オリンピックは,会場計画について言えばほとんど双子なのであった。もう一度東京でオリンピックをやろうという話が出ている。東京が博覧会を放棄したのはついこの間のことだったけれども,また決まってから放棄せざるをえなくなる……というようなことにならなければよいのだが。

電車展

電車展-オフィシャルウェブサイト-

昨年の家展に続く,慶応安村研による「電車展」が横浜で開催されます。今週の金土。インタラクションデザインの実験的作品を集めたものです。

携帯電話やSuicaとの連携で、乗客一人ひとりの要望に応えるサービスが可能になるのです。 ICカードであるSuicaは、大容量、ハイセキュリティー、そして個別認証と言う機能を備えています。このSuicaや携帯電話の個別認証機能を活用することにより、今までの不特定多数に対する「均一のサービス」ではなく、乗客一人ひとりに対する「個別のサービス」が現実のものとなります。 (中略) そこで、この様な時代の流れに先駆けて私たちは本展示でIDという新しい技術を用い、乗客一人ひとりの要望に応える未来の電車のサービスを提案します。

家展を見そこねたので,今度こそぜひ行きたいのだが,ちょっと日程が厳しいぞ……

『究極の文房具カタログ』

を読む。
高畑 正幸,『究極の文具カタログ【マストアイテム編】』ロコモーションパブリシング,2006

昨今は文房具ブームのようで,好事家向けのムックやなんかやたら出版されている。本書はそれらと一線を画し,実践的な日常の道具としての文具にフォーカスしている。いずれも普通に文房具屋で売っているものばかりで,ガラスケースにあって店員に出してもらう類のものではない。著者はサンスター文具の商品開発者である。

今,ご自分が使用しているボールペンの商品名を正確に言えるだろうか?逆に,ご自分の愛車の車種を知らない人がいるだろうか?(p.16)

弘法は筆を選ぶのである。

帯に曰く…

カッターの刃は折れ。
テープカッターの最も重要な性能は「動かないこと」である。
はがせるからこそ貼れるのだ。
すべての書類に「日付」をつけろ。

我々の作った『プロジェクト・ブック』と近い趣きがあるように思われた。

やわらか戦車

♪ やーわらか戦車のこーころはひとつ 生きのびたい,生きのびたい

やわらか戦車

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2006年02月07日

漢字書けな〜い! for Dashboard

漢字書けな〜い! for Dashboard
ピクチャ 2-1
すばらしい。これで漢字を調べるためにエディタを起動したり新規フォルダをつくったりしなくてもすむぜ。

色固定,ヒラギノ固定の潔さも好ましいが,なにより大きさがいい。これならフォルダ名にタイプしてみたのに肝心の細部が読めなくてがっかりすることもないし,手元にペンで書きながらでもチラりと画面に視線を走らせればよい。

Appleのアドレスブックにもコンテクストメニューに「大きな字で表示」というコマンドがあって,フルスクリーンに半透明で大きく番号を表示できる。電話をかけるときには重宝だ。
ピクチャ 4-1

とにかく大きく表示してみる。そうするだけで高齢社会にマッチした新しいサービスが生まれるかもしれませんね。(百式風)

2006年02月08日

LEGO Technic Difference Engine

LEGO Technic Difference Engine

 Fullenginefrontlarge

おおお,すげー。本当に動くのかなあ。動画でみたいなあ。詳細な情報がこれから掲載されるとのことだから,期待しておこう。

レゴで作れないかなと思う瞬間はあるかもしれないけど,本当にやるってのがすごいエネルギーだ。

ディファレンス・エンジンって何?

Engadget Japanese 経由

2006年02月09日

外苑:奉納する空間

あったかもしれない日本』の流れで,青井哲人「紀元二六〇〇年の空間」を読む。

青井哲人「紀元二六〇〇年の空間——万博・オリンピック/神社・宮城」,『10+1 (No.37)』」, INAX出版, 2004

「何も生み出せずに「幻」になった」万博・オリンピックと,「無数の実現例を持ちながら語られることのない」神社・宮城(皇居)というふたつの空間の系譜をはじめて同時に扱おうとしたのが丹下健三なのではないか,という話。

昭和15年のオリンピック計画におけるオリンピック組織委員会と内務省神社局との対立を詳細に紹介したうえで,「外苑」という両義的な空間について論ずる。

明治神宮の「内苑」は「森厳荘重」なる聖域であるのに対し,「外苑」はもう少し自由で気楽な公園緑地として計画されたものであった。そして,力比べや流鏑馬,弓道,相撲などが神社境内で行われてきたのと同様に,外苑におけるスポーツは祭神に対する「奉納」であり,競技施設は「宗教施設」と位置づけられるというのである。

なんとヤクルトのホームゲームは奉納野球大会だったのだ。神宮球場ってのはただの地主の名前を冠しているだけじゃないんだ。

青井によれば,この「奉納」という概念は「「神聖」と「開放」をめぐる二元論を辛うじて調停する装置」であり,その舞台たる外苑は「神聖と開放の両者を担保すべき両義的な場所」なのである。

なるほどー奉納かあ。
言われてみれば「奉納」って,場所へのコミットメントだよなあ。

以前2002年ごろに仙台のサンモール一番町商店街にある野中神社という小さい神社の環境整備を地元の方々や学生たちとやったことがある。アーケードで結婚式をしたり,参道や本殿の整備にあわせて,おみくじをつくったり,いろいろとイベントをやった。恥ずかしい話だが,このときは「奉納」という考えは全然なかった。神社から商店街のお客さんたちにどんなサービスを提供できるか,という視点しか持っていなかったように思う。

お客さんが「神社」にお金じゃない何か——それこそ相撲などの行為でいい——を「奉納」するという構えで考えられると何か違うことができそうだ。もちろん,「神様」を共有してないと「奉納」しようがないわけで,これが信仰の共同体を擬制するようなことになるんじゃうまくないんだけど。

『POST-OFFICEワークスペース改造計画』

といっても民営化される郵便局の本ではありません。たぶん。

仲隆介さんや中西泰人さん,馬場正尊さん,岸本章弘さん,みかんぐみのみなさんが作られた,新しいワークプレイスについての本。TOTO出版より,2月22日刊行。1890円。

刊行にあわせた執筆者によるトークショーが青山ABCにて3月4日にあるようです。


イベント情報
『POST-OFFICE ワークスペース改造計画』刊行記念トークショー

空間は働き方をどう変えるのか?

「職」をデザインしていくことは、この時代の大きな命題となるだろう。
ちょっとした風景の中にも、新しい働き方へのヒントはいたるところに隠れているのだ。
『POST-OFFICE』の著者は、情報空間研究の専門家、メディアアーティスト、建築家、
空間プロデューサー、ジャーナリストなど、いわば空間提案のスペシャリストたち。
今回のトークショーでは、常に刺激的なワースペースを生み出している彼ら自身の
ワークスタイルとワークスペースを大紹介。

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2006年02月11日

春とおからじ

春の告白,再び。
雪の多かった冬を見送ろう。

2006年02月13日

多感な時代

デジモノに埋もれる日々: メディア変革のスパン - 変化の源となる「世代」から目を背けるな:
人間は長い人生の中で数十年掛けて、習慣を身に付けていきます。
特に大きな影響を与えるのは、多感な年代(5歳~25歳あたり) に於いて
どのようなモノに囲まれてライフスタイルを構築してきたか、という点です。 (中略) モノがある時代に生まれた人を増やす、それはつまり、年月を重ねて、
世代交代を待つということに他なりません。現実に「それが有る」環境を与え、
その中で多感な年代を過ごしてもらわなければ、人間はそれをライフスタイル
の根幹を決める「習慣」として身に付けてはくれないのです。

個々人の問題としては,いかに「多感」で有り続けられるか,という話。
もっとも多感でなきゃならないってこともないんで,個々人の問題としてはそれでいいわな。ウォークマンを聞かず,ずっと紙で新聞を読んで,テレビを見てればいいんだし。

ただし,個々人の問題ではすまない時もある。都市計画や建築でも,その人が学生の時代=多感だった時代に流行った学説を,さも自明の理想のように振りかざす人はいる。そういうのを見ると,この人はその時で勉強するのをやめたんだなって思う。しかもそれが一定の影響力を持つ場合が少なくない。意思決定に関わる人たちが同世代だから共感しあってしまうのだな。

自戒したい。

2006年02月15日

イアン結び

Ian's Shoelace Site - "Ian Knot" = Ian's Fast Shoelace Knot

Ianknot6A

靴ひもの通し方大全。なんにでも追究している人がいるものだ。
図ではピンと来ない「イアン結び」もやってみれば簡単。

miscellany morgue secondary 経由。

宮城大学空間デザインコース卒業設計・制作展

が開催されます。
Myu Smt 2005

2006年2月17日〜22日
せんだいメディアテーク 5階 ギャラリーC
10:00-19:00(最終日は15:00まで)
入場無料

ぜひご覧ください。

追記(2006.2.21):行ってきました。
Myudiplomaexpo2006

ニンテンドーDS 1000万台へ

ニンテンドーDS Conference(カンファレンス)! 2006.春

電車でも中年のおじさんがDS使ってるのを見かけます。GBAとはまったく違う境地を拓いたのは確か。

今後も書けば引ける漢字辞書や,ペン字の練習など,なかなかにおもしろい展開が用意されています。ブラウザも出るみたいだし。

次はDS_Skypeがでるといいんだが。

2006年02月16日

『行動分析学入門』

を読む。
杉山 尚子,『行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由』集英社新書,No. 0307E,2005

行動分析学 behavior analysis の入門書。行動分析学は心理学のひとつで,「行動の原因を解明し行動の法則を発見する基礎科学」と「現代社会における人々の行動の問題を基礎科学で発見された法則に基づいて解決していく応用科学」という,基礎と臨床の両義性をもった方法論である。これらの探求は実験を通じて行われるので,実験的行動分析 the experimental analysis of behavior と呼ばれる。

いつも炬燵に左手を入れたまま片手で食事をする人がいるとする。普通,我々は「行儀が悪い」からだと考える。しかし,「行儀が悪い」のは「片手での食事はいけない」を言い換えているにすぎず,原因を説明していることにはならない,と行動分析学では考える。

実験的行動分析によって,彼の左側にあるドアから冷気が入って左手が冷たいということがわかった。試しにストーブを近くに置いてみると両手で食べる時間が増え,再びストーブをどけると片手で食べ,またストーブを置くと両手で食べたのである。そこで,彼の左手を炬燵に入れる行動は,左手が暖かいという「好子(こうし)」の「出現」を「強化」するための行動である,と説明する。このように行動とそれがもたらす効果との関係——行動随伴性 behavioral contigency——によって行動を捉えようとするのが行動分析学だ。

このように行動分析学では,行動の説明を環境の要因に求める。逆に,神経生理学的な説明(ドーパミンの多寡)や心理的な説明(電車の中で化粧をするのは羞恥心がないからだ)あるいは概念的説明(戦争を繰り返すのは〈闘争本能〉のためだ)は受け入れない。行動分析学には,行動の問題を具体的に改善しようする実践的な側面もあるから,操作可能な変数に行動の原因を探す必要があるのである。

このように,行動の原因を環境要因に求め,逆に環境に介入することで行動に影響を与えようとする行動分析学は,環境の設計方法論にほかならない。行動分析学の極めて単純な(もちろんよい意味で)モデルによる行動の説明は,デザインに携わる人々に多くの示唆を与えるだろう。

ハトを実験動物に使うのは目がいいからだ,とか,言語 language ではなく言語活動 verbal behavior と呼ぶのはなぜか,とか,単一被験体法とか,節約の原理とか,実に興味深い話題がめじろおしであった。人の行為に影響を与えようと考えている人,つまりすべてのデザイナーには知っておいていいことばかり。

同じ著者らによるより広範な教科書,『行動分析学入門』も読んでみるつもり。

2006年02月17日

i-U

バスルーム システムバス・イーユ|National 松下電工

i-Uって「イーユ」かあ

松下電工が深澤直人と作ったユニットバス。
ごく普通の一坪用から。
まったいらな床はいいねえ。

それにしてもの深澤節炸裂。
なんでも作ってるなあ。ひとりWiLL状態か。
深澤印のクルマもでるか?

dezain.net 経由

RapidWeaver 3.2.1ではSFTPが使えない

いつからか,このサーバーへのftpができなくなっていたのだが,あまり緊急の用ではなかったので放置していた。

あるプロジェクトのために,RealMac社のWebサイト構築ソフト,RapidWeaverを使ってみているのだが,ftp転送がやはりうまくいかない。

FetchでもCyberDuckでもダメ, Winからでもダメなので,問題はサーバーだってことで深追いを始めたところ,Appleが2005年11月に文書を出していた。

Mac OS X: サーバ上のファイアウォールが原因で FTP 接続が確立されない

対応策は,SFTPを使うこと,とある。

ほかには、接続先の FTP サーバーのファイアウォールを無効にして対処することもできます。
それはちょっと無理。

FetchやCyberDuckでsftpを試すと通った。よかった。
が,RapidWeaverでsftpを使う設定が見つからない。

RapidWeaverの掲示板に同じ悩みが投稿されていた。

Can RapidWeaver publish via SFTP? my server is using this secure protocol..

答えは"At the moment, a firm No." いったん書き出してから別のftpソフトで転送せよとのこと。 となると,RapidWeaverの"Optimized Publishing"ができないことになる。もっとも,差分だけのftp転送はFetchでならできるんだけど。

めんどうじゃのお。
RapidWeaverは実によい出来なのに画竜点睛を欠くではないか。

2006年02月19日

つくし文具店

つくし文具店が店番を募集しておられます。
萩原修さんの仕事。
まちには「おみせ」が必要だ。

2006年02月20日

『MIND HACKS』

を読む。

トム スタッフォード, マット ウェッブ,『Mind Hacks―実験で知る脳と心のシステム』夏目大訳,オライリージャパン,2005

脳科学の研究成果にもとづいて,脳と心と知覚の働きを解説。すべてが脳への「ハッキング」の実例によって説明されていくのがミソ。実におもしろい実験が次々と紹介されている。自分でもすぐに試せる。やってみると本当にビックリ。

たとえば,Hack #17。
鏡に顔を映して,自分の目を見てみる。映っている右目を見る。ついで左目。また右目,左目。視点が動いているのだから,目玉も動いているはずなのだが,動いている自分の目玉の姿を鏡に捉えることは決してできない。他人がこの実験をやっている様子をみると目玉がグリグリ動いているのはよく見える。我々は目を細かく動かしながら物を見ているけれども,目玉を動かしている間は物が見えていないのである。

たとえば,Hack#41。
何かに集中していると他のことには気づかない,という実験。
バスケットボールのプレイをしているビデオを見て,白いシャツのプレーヤーの間でやりとりされるパスの回数を数えてみてください。では,どうぞ。
……数え終わったら,今度はリラックスして,もういちどビデオを頭からみてみよう!

うちの子供たちは大いに驚き,最初とは違うビデオだといってきかなかった(笑)

できれば親しい人にこの本を読んでもらいながら,被験者になり続けるのが一番おもしろいかもしれない。

『行動分析学入門』にも通じることだが,こうした基礎的な知見を学びつつ,どんな風に「臨床」に応用できるかを考えるってのが,大学などで研究的にデザインを考えるひとつの典型的な方法でありうるだろう。ただ,オモシロビックリ心理実験の経験から先に進むには,この知見をデザインの実践にどう接続していくかっつうところを考えないといかんのだ。

しかし,往々にして,デザインの実践のほうが先行するわけだ。理屈はわからないが,グッときたり妙にクリアだったりするようなものができてしまう。あるいは伝統的経験的に,そのように作られてきていたりする。

その妥当性を検証するのに,こうした実験が役に立つということはある。メカニズムがわかってれば,調節もできるからね。

まあ,そんなんじゃあ「鳥肌が立つようなものはつくれない」んだけど(笑),鳥肌だけがデザインの達成じゃないんだよベイビー。

2006年02月21日

『Ex-formation 四万十川』

を読む。


原研哉ゼミ『Ex‐formation 四万十川』中央公論新社,2005

ムサビの基礎デザイン学科原研哉ゼミの2004年度卒業制作集。ちょうど,宮城大学の空間デザインコース卒業制作展を見ての帰り,書店で見かけて求めた。昨日は東北大学の卒業設計の講評会に行ってきたこともあって,ゼミの展開について考えているところでもあったので,なるほどこういうゼミの展開もあるんだな,と思いながら読む。同じようにはできないだろうけれど。

さて,「知ってる,知ってる」と我々はよく口にする。が,これは話を少しも進展させることはない。「わかった,わかった」が,もうそれ以上言うな,という意味であるように,「知ってる,知ってる」は「ある種の達成感をはらんで発せられるせいか,それは相手に別の知識の披露を促すか,話を終結させて別の話題への転換を誘うように機能している。(p.9)」どうやら「情報を発信する側は断片的な情報を受け手に投げ合ったえることのみに熱心になり,受ける側はそれらを受け止めることを一つのゴールと考えるようになった(p.10)」んじゃないかというわけだ。

そこで,「『知らせる』のではなく『いかに知らないかをわからせる』。そういうコミュニケーションは可能ではないか」という問いが立てられる。「『知らせる』のではなく『未知化する』ための情報のかたちや機能を」デザインしようというのである。

このゼミの課題に14名の学生が卒業研究で答えた。その作品集である。モチーフは四万十川だ。学生らしい甘さも,切れ味のよさも,どっちも感じられる作品が8つ。「もし,川が道だったら」や「足形スケープ」が特に印象に残った。どちらも新しい「定規」をあててみるという構造をもった作品だといえる。

私は四万十川には行ったことがなく,清流でカヌーが楽しそう,沈下橋ってのがあるらしい,という程度の紋切り型の理解しか持っていない状態であった。そこで,これらの作品に触れ,様々な知識を得て,四万十川のことを以前よりも「知った」と感じた。フツーに「知った」。知らなさを思い知った,という感触はもてなかった。おそらく,未知化されて驚くほどには,あらかじめ知ってさえいなかったし,知らないことに自覚的であったからだろう。

知れば知るほど知らぬを知る,というのはあたりまえなんじゃないのかなあ,とも思ったし,本書をさっと読んだ感じでは,原のいう「既知を未知化する」というコンセプトのコアをつかむことが出来なかったような,うなぎを逃がしたような,なんだか残念な気がした。

2006年02月25日

避難用外付けリフト(しかも多層式)

Escape Rescue - Rescue System Overview

日本の建築で「非常用エレベーター」というのは消防隊があがってくるためのもので避難用ではない。避難には機械を使わず,階段を使うのが原則になっている。だから,階段を降りられない人は,事実上,避難は極めて困難である。

これは,高層ビルの火災時に,窓ふきゴンドラのような外壁外付けのリフトで避難をさせようというシステム。カゴが多層になっていて,着地して人が降りたカゴから順次畳まれ,次のカゴが着地していく仕掛けで,一気にたくさんの人が降りられるようにしているのがミソ。リンク先のビデオを見ればシステムは一目瞭然だ。

外壁清掃用のゴンドラ・システムを改造すれば実装は難しくないようにも思うが,どうなんだろうか。

via engadget

VGAtoRJ45conversion

VGAtoRJ45conversion - ElephantStaircase
おお,これはいいかも! 安いし細いし……と思ったけれども,画質もよくはないだろうし,ノイズを周囲にまき散らすことにもなるんじゃないかと思われ。

ネタもとのElephantStaircaseのMain Pageには,似たようなアイデアがいっぱい出てる。性能だの費用だのの前に,作れるなら作ってみようという工作野郎たちなのだった。

via Engadget Japanese

ijockey

ijockey

iJockeyは、あなたの「 iPod 」を あなただけの、オリジナルラジオにしてしまう言葉の「 振りかけ 」です。 

『エレベーター・ミュージック』ならぬエレベータートーク。ラジオの曲間で流れるような,毒にも薬にもならない台詞を集めてiTMSで発売中。iPodでシャッフルさせて聞くとムーディー♪というわけだ。なるほどねえ。

南洋堂N+にて卒業設計展

があります。
私のも出します。恐縮です。
若気の至り,ご笑覧ください。

■『卒業設計で考えたこと。そしていま』オリジナル卒業設計展
好評発売中の『卒業設計で考えたこと。そしていま』に登場した建築家のオリジナル図面の展覧会です。10日間限定開催!

Npamph

会期:2006年3月3日(金)〜3月14日(火)※日休
会場:南洋堂書店4階ギャラリー N+ 
http://www.nanyodo.co.jp/
出展者:青木淳、阿部仁史、五十嵐太郎、乾久美子、佐藤光彦、藤本壮介、藤森照信、古谷誠章、本江正茂、山本理顕
共催:南洋堂・彰国社
協力:ギャラリーA4(エークワッド)
入場料:無料

2006年02月26日

『情報学的転回』

を読む。
西垣 通,『情報学的転回―IT社会のゆくえ』春秋社,2005

西垣通の語りおろし。以前からよく書いていた「聖性」などの宗教的な話題,とりわけユダヤ=キリスト教批判,同根からのアメリカ=日本文明批判,『基礎情報学』でまとめたオートポイエーシスに基づく生命情報理論,ヨーガの話等々がないまぜになってグリグリ進む。従来からの西垣の読者にはスムースに読めるけれども,そうでない人には話についていけないという感じがするよ。

タイトルの「情報学的転回 informatic turn」は,もちろん「言語学的転回 linguistic turn」を受けてのもの。

言葉を発する人間の内面よりも外面に表れた言葉そのものに注目せよという言語学的転回は,白人中心の近代進歩主義を徹底的に批判し,有色人種もふくめて人間はみんな平等だという理念を広げた。

だが,この文化相対主義はニヒリズムにもつながるものでもあった。西垣によれば,言語学的転回は,人間しか眼中にない点に限界がある。人間と他の生物の間に本質的な差異はない。動物もコミュニケーションをしている。まず「言語ありき」では十分ではない。

つまり情報学的転回とは,「人間は生物なのだというところから出発して,われわれが生きている生命環境を尊重しようというテーゼに基づいて,もう一遍根底から物事を考え直してみようということです。(p.121)」

言語学的転回が,主体から言語へ,歴史から構造へ,実体から関係へ…という図式で語られるのにならえば,西垣のいう情報学的転回は「機械から生命へ」といえるだろう。(同じスローガンを使っている建築家もいますね。)

そういう大きな枠組みでもって,ニートだとか自殺三万人だとかな現代日本を語ろうとするから,なんだか間尺が合わない感じがしてしまうのかもしれない。

だから本書だけ読んでもダメです。

2006年02月28日

ウェブサイトの新居探し

今は自室内にあるiMacをサーバにして,このブログを動かしている。講義資料などは,このiMacと大学設置のサーバとだいたい半々ずつおいている。大学のサーバの割当容量を食いきったので一部を手元のiMacに移したりしたのだ。

さて,4月から職場を移るんで,宮城大学のサーバから引き上げることになる。

そこで,新しい研究室の活動のためのWebサイトが必要になるのだが,これをどうやって調達するべきか悩んでいる。

とりあえずBlogとWikiを使いたい。イントラの作業用ファイルサーバは別に考える。

物理的にコンピュータを手元において自前でサーバを稼働させる気はない。実験的短期的なものはいざ知らず,基本情報提供ウェブサイトのサーバが止まると困るから,ディスクがつぶれましたの明日工事で停電だのブレーカー落ちましたの……,そういう心配はもうしたくない。

1. ハードはアウトソースするもののソフトは自力管理。
レンタルサーバにMovableTypeとWikiをインストールする。
いろいろ融通が利く。新しいのもいろいろ試せる。
料金も知れてる。
同じMTどうしならデータを移すのもなんとかなる。
ただし融通が利くのは面倒くさいのと表裏一体。

2. 全部ASP。しかもタダの。
たとえば,BloggerとWikiRoomとflickrで運用する。ちょっとやってみたりしてる。
システムのアップデートやら脆弱性やら,何も心配しなくてイイ。
新しいサービスもどんどん出てくるに違いないので,それらを逐次組み合わせていくってのは2.0っぽい。
機能を拡張できない。隔靴掻痒。
突然,サービスが終了するかもしれない。
このブログのデータを移せるかどうかわからない。
容量が小さい。
広告がウザイ。

みんなどうしてんのかな?

追記:
このブログのデータは250MBくらいある。授業資料のPDFなんかがドカドカ入っているから結構大きいな。研究と授業のためのサーバとすれば,これからもそのノリは続くので,この容量で無料ホスティングの組み合わせは無理だよな。

退職者むけSNSで産休・育休取得を支援

 『Web1.0では、ITはプロダクトだけれどWeb2.0では、ITはサービスなんだ!!』
に反応してリンクを読み進む。
日本興亜損保 / 日本興亜損保ニュース 〜 社員が安心して産休・育休を取得できる環境整備に向けて 〜 退職者の会員専用Webサイト「日本興亜サポーターズ倶楽部」を開設します。

(中略)

社員からは
・同僚に気兼ねなく育児休業制度を利用できるように、代替要員として経験者を派遣して欲しい
・朝だけ代りに勤務してもらえる短時間勤務の方を探してもらえないか
一方、OGからは
・子育ても一段落し、短期間(短時間)ならスキルを活かせる職場で働きたい
といった声が寄せられました。
そこでこれらの声を反映し、各種育児支援策の実効性を高めるために、『日本興亜サポーターズ倶楽部』を開発することにいたしました。
これにより、社員が育児支援をより受けやすくなるうえ、スキルを活かして働くことを希望する退職した元社員にとっても活躍の場が提供されることになります。

それなら退職者全員をデータ−ベースに登録しておいて何時でもメールを出してアルバイト募集すれば良いではないかと思われるかもしれませんが、世の中そんなモンではありません。交流が無い相手には人は冷たいのが世の常です。
 退職者に会社同窓会を社交クラブ(ソーシャルネットワーキング)として提供し、彼女達が『働く気があろうと無かろうと』社交を楽しんでもらっています。

そして『現役女性社員が産休、育児休暇で困っているんです!!』と訴えかけます。

その結果、結構、沢山の応募者があるそうです。

『会社は私達に自己表現や社交の場を与えてくれた。だから私たちもお返しをしよう!!』と言う『好意の返報性』が働きます。

また社交クラブ(ソーシャルネットワーキング)で何時も社交をすることにより、『私は会社に育ててもらったんだ』と言う『巻き込み効果』が強まります。また『皆が応募するなら私も応募しよう』と言う『同調効果』も刺激されます。

単なる退職者データ−ベースに会社同窓会SNSと言うITのサービス要素が参加者の動機付けを強めている訳ですね。(これは感動の活用です。)

このような退職者の社交クラブ(ソーシャルネットワーキング)は『明らかにWeb2.0の言うITサービス』と筆者は理解しています。

(中略)

Web2.0=『ITがサービスと言う意味を極めればこれほどの違いをもたらすのか』と最近、身にしみて感じています。  Web2.0の言うITサービスには明らかにブログやSNSなどのソーシャルメディアの持つ『感動の促進要素』が含まれています。

たとえばVOTで卸町に関わる人たちに感動を与えられるとすれば,どんなサービスによってであろうか。

もしマイクロソフトがiPodのパッケージをデザインしたら?

YouTube - microsoft ipod packaging parody

YouTubeにあがったジョークビデオ。笑えるけど,笑えない。
デザイン情報概論の授業で使うことにしようかな。

via www.textfile.org


Google Videoにもあった。"Put on site"サービスで自分のサイトに貼り込める機能が出来てたので,テスト。ちなみに,GVからだとVLCで再生できるAVIでダウンロードできます。

WeBA

WeBA

GoogleMapをつかった位置情報ベースのSNS。
今は紹介なしで入れる。重い。
まだまだギクシャクしてる。

これって「かきこマップ」じゃんって話ですが,地図入手の問題はクリアになったってことで,かきこマップの巻き返しに期待しております。

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