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2016年05月 アーカイブ

2016年05月07日

『ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン』

小さい絵なのにニュアンスに富んでいる絵を描く寄藤文平の落書きの技術。

第2章の「置き換えマスター」が素晴らしい。構造を理解せよ、というのでは届かないものを「置き換え」で説明する。広葉樹の枝ぶりが含み込む空間を傘の集まりと置き換える。鳥の翼は大きくなった人の掌であり、犬や猫は指で立ち、馬や牛は爪で立っていると置き換える。脊椎動物は人と同じ形をしているからだ。

人間のマスターモデルもとても面白い。スティックモデルよりもずっと複雑ではあるが、表情の多くが骨盤の角度と腰のひねりによって示されている。

これが絶版なのはもったいない。

この本のことは、安藤幸央さんのツイートで知った。この「安藤日記の千冊紹介」は私の関心と大きく重なりつつ、同時にズレも大きくあるので、毎回楽しみ。

2016年05月08日

基礎設計B 2016年度 3Dモデリング

2016.5.16

担当  本江正茂、大風翼(東京工業大学)

この課題のホームページ
http://www.motoelab.com/blog/20160508005743.html

課題提出状況

以下の学籍番号の学生からの提出を受け付けました。(6/29午前の時点)

2217, 5002, 5003, 5004, 5005, 5007, 5008, 5009, 5011, 5012, 5013, 5014, 5015, 5017, 5022, 5023, 5024, 5025, 5027, 5028, 5030, 5031, 5033, 5035, 5036, 5036., 5038, 5039, 5040, 5043, 5044, 5049, 5050, 5051, 5052, 5053, 5055, 5056, 5057, 5059, 5061, 5062, 5064, 5066, 5067, 5072, 5073, 5075, 5076, 5077, 5078, 5079, 5080, 5081, 5083, 5084, 5085, 5086, 5087, 5091, 5093, 5094, 5095, 5097, 5098, 5102, 5107, 5108, 5109, 5112, 5114, 5115, 5116, 5117, 5118

追加提出(7月5日まで)

5001

期限までに提出したはずなのに上記リストに載っていない人や、まだ提出していない人は、期限超過の提出も受け付けるので、本江までご連絡ください。減点しますが、受領はします。

目的

3次元空間と2次元図面の関係を理解し、自在に往き来することは、設計者のみならず、建築に関わる仕事をする上で必須の能力である。この課題では3Dソフトの SketchUp を用いて3次元空間をモデリングする手法を学ぶ。 前課題でおこなった実測データから、立体としての建築を3Dモデルとして再構成する。 また、流体解析ソフト(CFD: Computational Fluid Dynamics)を用いた熱力学的シミュレーションや構造解析のシミュレーションについて知り、ひとつの Building Information Model が建築の様々な局面で利用しうることを理解する。

創造工学センター デジタルアトリエについて

  • 東北大学青葉山キャンパス 創造工学センター 1F デジタルアトリエ
  • http://www.ip.eng.tohoku.ac.jp/
  • 「使用上の注意」を参照のこと。 工学部全体の共用施設なので、その利用にあたっては格別の注意が必要である。
  • 入室権限を付与するため、学生証のカード番号(顔写真下の数字10桁)をすでに集めた。未提出のものは申し出ること。
  • デジタルアトリエでのネット接続には eduroam を使用する。接続できないものは、下記を参照してサブIDを得ておくこと。
  • PC上にファイルを保存しておくことはできない。ファイルを作成しても再起動時に削除される。自分のファイルを保存する場合は、USBメモリ等を持参すること。

グループ分け

  • デジタルアトリエの機材数に制限があるため、履修者を担当建物のグループによって、前半組(13:00-15:15 )と後半組(15:25-17:50)に分けて実施する。

  • 前半組(13:00-15:15 )

    • やましょう記念館 店蔵
    • 同 母屋
    • 同 内蔵
  • 後半組(15:25-17:50)

    • やましょう記念館 離れ
    • 同 醤油醸造所
    • ヤマニ 母屋
    • 同 内蔵
    • (都市・建築学専攻)免震実験棟
  • 本課題のデジタルアトリエでの授業については、授業開始時間がグループによって異なるので、下記の日程に注意し、開始時間に会場に集合する。待ち時間は自習のこと。

  • 機材の数が足らない可能性があるので、SketchUpをインストールしたPCを持参するとよい。

SketchUp とは?

  • Trimble社が提供する3Dモデリングソフト。
  • 自習用に無料版(SketchUp Make)をダウンロードして各自のパソコンにもインストールしておくこと。Windows版とMac版がある。
  • http://www.sketchup.com/ja

課題

「村田町村田伝統的建造物群保存地区」の3Dモデルを制作する。

課題2で実測した資料にもとづいて「村田町村田伝統的建造物群保存地区」における担当建物の3Dモデルを制作する。 担当建物については別途指示する。

実測野帳

下記から、各自の担当する建物の実測野帳をダウンロードして資料とする。

パスワード付きのPDFファイルなので、ファイルを開くためには授業の際に示したパスワードを使用する。

成果物

前課題で実測を担当した建築のモデルを作成し、以下の5ファイルに整理して、6月27日(月)までにファイルをアップロードすること。

  1. 作成したモデル(skp)のファイルそのもの。
  2. 建築のジオメトリーを示すアクソノメトリック図(ax): 通り芯、階、棟、軒など。
  3. 外観透視図(ext)1面:もっとも特徴をよくあらわす構図でレンダリングする。
  4. 内観透視図(int)1面:もっとも特徴をよくあらわす構図でレンダリングする。
  5. 平面図(plan)1面:建築の特徴をよく示す水平面で切断する。遠近法ではなく平行投影で。
  6. 断面図(sec)1面:建築の特徴をよく示す垂直面で切断する。遠近法ではなく平行投影で。

提出方法

  • モデルはSketchUpのファイルのまま、画像はjpgフォーマットとする。
  • ファイル名は下記のとおりとする。例:5028-plan.jpg
    1. 学籍番号下4桁.skp
    2. 学籍番号下4桁-ax.jpg
    3. 学籍番号下4桁-ext.jpg
    4. 学籍番号下4桁-int.jpg
    5. 学籍番号下4桁-plan.jpg
    6. 学籍番号下4桁-sec.jpg
  • 上記の6ファイルを下記にアップロードする。

  • 提出期限:2016年6月27日(月)

  • Dropboxのファイルリクエスト機能を使用している。

宿題

  • 5月30日の授業までに、SketchUpの入門ビデオ 4本 を見て内容をマスターしておくこと。

  • Getting started with SketchUp - Part 1 (19:51): 基本操作、簡単な家

  • Getting started with SketchUp - Part 2 (8:48): 寸法、offset、followMe
  • Getting started with SketchUp - Part 3 (15:15): interior, 3D gallery, guidelines, camera, paint, move
  • Getting started with SketchUp - Part 4 (11:44): Groups, component ←これらの概念がわかっていないと複雑なモデルはつくれない。
  • 次回以降は、これらの内容を理解しており、関連する基本操作は習得していることを前提として進める。
  • ナレーションは平易な英語で字幕も表示できる。
  • ビデオ教材であることを活用し、自分でもSketchUpで作業しながら見ること。
  • その他のチュートリアル・ビデオも充実しているので、興味のあるものを見ておくことを勧める。
    • 特に Layers を見ておくことを勧める。

日程

  1. 5月16日(月) モデリング課題説明 @102教室
  2. 5月30日(月)前半 13:00, 後半 15:25 | モデリング作業
  3. 6月6日(月) 前半 13:00, 後半 15:25 | モデリング作業
  4. 6月13日(月) 前半 13:00, 後半 15:25 | 次の課題「プレゼンテーション」についての出題とエスキス
  5. 6月20日(月)前半 13:00, 後半 15:25 | CFD その1
  6. 6月27日(月)前半 13:00, 後半 15:25 | CFD その2/課題提出アップロード締め切り

5月16日(月) モデリング課題説明

  • この資料について。

5月30日(月) モデリング作業

  • アカウント、創造工学センターとコンピュータの使用について。
  • 製作するモデルの抽象度について。
  • 実測してきた形と、その背後にある幾何学的秩序との関係を意識して、整合性のあるモデルを作成する。
  • メンバー、ディメンション、ジオメトリーを意識する。
  • 教員とTAに不明な点について聞きながら、時間まで課題のモデリング作業を行なう。
  • 使うテンプレートは、「建築デザイン - ミリメートル」
  • こまめに保存(command + S): とにかくファイルをこまめに保存すること。
  • Layers:操作対象の可視/不可視を使い分けて操作する。Groups, Compornent の概念を理解してから使うこと。
  • 要求成果図面についての詳細な説明
  • 操作が分からないときは、チュートリアルビデオを何度でも見ること。

6月6日(月) モデリング作業

  • 作業の続き
  • 教員とTAに不明な点について聞きながら、時間まで課題のモデリング作業。
  • 今日のコマンド
  • 断面の切り出し方
  • ツール/断面平面
  • カメラ/遠近法 or 平行投影
  • カメラ/標準ビュー
  • 画像ファイルの保存の仕方
  • ファイル/エクスポート/2Dグラフィック… *.jpgで保存
  • ウィンドウ/シーン を使うと「見え方」を保存できる。

6月13日(月)次の課題「プレゼンテーション」についての出題とエスキス

  • 授業にて指示する。

6月20日(月) 課題 CFD その1

  • 授業にて指示する。

6月27日(月) 課題 CFD その2

  • 授業にて指示する。
  • 課題提出締め切り。前述の課題提出方法を参照。

参照

SketchUp、FlowDesignerについて

村田町村田 伝統的建造物群保存地区について

TIPS

バックナンバー

以上

2016年05月09日

ローラン・ネイと渡邊竜一

今日は東北大学カタールホールにて、ローラン・ネイさんとその日本法人代表で本学OBの渡邊竜一さんによる特別講義。厚い鉄板で合理的なジオメトリーの曲面を作り出し、必要な部分だけを残して切り抜く、躯体即仕上で余分な臓物が一切ない純粋の美。が、同時に人間のための空間も織り込まれている。

こういうのはヨーロッパだから可能なのだ……ということはなくて、札幌のトラム駅や三角(みすみ)の港の屋根、長崎出島の橋など、日本でも競争力のあるコストで同様の美学による空間を次々実現している。渡邊さんは建築専攻の都市計画系の研究室を出て土木のデザインへ。

直前まで2年生相手に在来木造構法の授業をしていたのもあり、不均質で劣化を前提したごく細く小さい自然素材を工夫を凝らして組み合わせていく技術と、ネイ氏らの強靭で均質な工業製品による原則ワンピースにする構法とのギャップが感慨深かった。

そのあたりを聞いてみると、現代では材料よりも手間の方がずっと高いし、メンテを考えればジョイントはコストそのものだからね、という。建築もまた、工業製品のように部品点数を減らすことでコストカットと信頼性を狙うようになるのか。DIYはやりにくくなるから居住系には向かぬだろうが。

2016年05月20日

『サイボーグとして生きる』

ソフトバンククリエイティブ
発売日 : 2006-07-01
人工内耳をつけた筆者が、サイボーグとしての生き方を探っていく物語。

自身がコンピュータに詳しく、そのシステムをよく理解しているからこそ書ける、ユニークな体験記であり、身体論であり、技術論になっている。

サイボーグというと、機械のインプラントのビジュアルのインパクトが強いので、ハードの技術に目を奪われがちだが、筆者はソフトウェアの方が重要であるという。当初、彼の人工内耳には二つのソフトウェアが選べるようになっており、それぞれで聴こえ方が全く違うことから、客観的な「正しい」音などないのだという認識に至る。

閉鎖的だが濃密な手話コミュニティと人工内耳に親和的な口話主義の対立の歴史、貧困のせいで聾の状態に固定されてしまう階層の問題、高いリスクを伴い技術開発のごく初期に自身の身体を提供した先駆者への敬意、自分もまた未来の世代のために実験データを残そうとする意識などなど、サイボーグ技術の周辺におきる様々な社会的問題も幅広く取り上げられている。

人工内耳の失敗例についても取り上げ、夢みがちな未来学者にも釘を刺している。

サイボーグ技術を考えるための、とても良いスタート地点となりうる本である。

2016年05月29日

『丹下健三――戦後日本の構想者』

2016年5月27日、現職の米国大統領として初めて、オバマ大統領が広島を訪れ、原爆資料館を見学し、慰霊碑に献花し、所感を述べ、被爆者と言葉を交わし、原爆ドームを仰ぎ見た。広島への原爆投下から71年めの、この一連の歴史的な出来事の舞台となったのが、広島平和記念公園であった。演説するオバマ大統領の背後には、常に原爆ドームが見えていた。それは偶然ではなく、公園の設計にあたって,明確な意志を持って設定された視線の軸線の力によるものであった。その軸線を設定した建築家が丹下健三である。

本書は丹下健三の作品紹介ではない。言うなれば、丹下が時代の中で構想し、設計した「軸線」についての物語である。

その「軸線」はバリエーションを展開しながら、旧都庁舎、香川県庁舎、代々木オリンピックプール(国立屋内総合競技場)などの公共建築に現れ、中東やシンガポールやアフリカの都市計画に現れ、東京計画1960の都市軸から東海道メガロポリスの国土軸を構成していった。日本を代表する建築家や官僚を輩出した「丹下シューレ」の門下生たちはこの軸線からの距離を測りながらそれぞれの歩を進めていくことになる。

著者は、本書の作業を「戦後一〇〇年というスケールを導入するための準備作業(p.216)」であるという。戦後70年の今日から、これからの残り30年に、私たちはどんな構想力を発揮できるだろうか。

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