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2009年02月 アーカイブ

2009年02月03日

ユビキタス技術がもたらす都市空間の新しい使い方

という大それたタイトルで、一般むけの講演をする機会をいただいた。
(株)内田洋行の「ウチダフェア2009 IN 仙台」にて。

ユビキタスをテーマに、という依頼であったので、昔のニュース映像やコント、落語などを枕に、新しい技術と人々の意識の間にはギャップがあり、そう簡単に乗り越えられるものではない、ということから入りつつ、こども科学キャンパスでの、小学生たちの恐るべき集中力と適応力、その成果を紹介し、デジタルネイティブの潜在性は信じてよいのではないか、というのが枕。

建築学会編の『ユビキタスは建築をどう変えるか』に出てくる議論を踏まえて、「モバイル」と「ユビキタス」の違いを整理する。

mobileubiquitous
いつでもその時
どこでもその場で
context freecontext awareness
デバイスに集約環境に分散

コンテクストアウェアネスを実現するためには、ユーザはシステムに自分の情報を提供しなくてはならないから、プライバシーとのトレードオフになる。そのバランスをどのあたりに求めるのか。で、象印の「みまもりほっとライン」を紹介。

技術と意識のギャップの話にもどって、「e-なんとか」「電子なんとか」は電子メールや電子辞書、電子商取引などなどたくさん登場してある程度定着したのに、続いて政府が提唱した「u-なんとか」つまり「ユビキタスなんとか」は全然登場しない。ubiquitous computing とか ubiquitous networking の意味をカタカナの「ユビキタス」一語に込めて書いてしまうのはちょっと無理があるという言語的な問題もさることながら、既存サービスを電子的に置き換えるということで簡単にイメージできる「e-なんとか」に比べると、「u-なんとか」はより原理的な変容を迫るものであるがゆえにイメージが難しいのじゃないか。なんという話をして、MEGAHOUSEを紹介。

以上で、ちょうどお時間の70分となりました。

2009年02月08日

『エレベスト』


"エレベスト―日本初のエレベーター鑑賞ガイド" (梅田 カズヒコ)

日本各地の名エレベータを案内する全国のエレベータ愛好家のための鑑賞ガイド。
世田谷ものづくり学校にて、著者の梅田カズヒコさんから直接購入。

鉄道に限らず、あらゆる乗り物には様々な角度からアプローチする愛好家がおり、それぞれに視点のユニークさを競っている。エレベータもまた乗り物なれば、その世界を愛でる趣味の存するは理りである。本書はその日本初の入門書であって、エレベータを愛でるための様々な視点と評価軸が提示されている。であるが故に総花的性格を帯びざるをえないのだが、本書はエレベータ愛好界確立の嚆矢たる自負とともに、あえてその曖昧さを引き受けている。

エレベータは19世紀半ばに発明され、以降の都市空間を決定的に変容せしめた真のイノベーションのひとつである。垂直な空間を往き来する乗用エレベータのアイデアはずっと昔からあったのだが、それが実用化されるにあたっての技術革新の核心は落下時の非常停止装置にほかならない。これを発明したのが「エレベータの父」エリシャ・オーチスである。ブランド名に残るこの"OTIS"という名を、「オーティス」と検索するとオーティス・レディングなどが出てきてしまう。垂直な空間を駆け登らんとする我々に波止場に座っている暇はないのに。エレベータ界においてはOTISは「オーチス」と表記する。ティだとトゥだのヴィだのいう洒落臭いカタカナ表記が一般化するよりもずっと前から、エレベータはオーチスだからである。

さて、本書を読み終えれば誰しもが、それぞれのフェイバリット・エレベータや、貴種希種珍種のエレベータについて、思いをいたさずにはおかれない。

私があげるのは、本書を入手した帰り道、最寄りの池尻大橋駅でみかけた「専用改札口つきエレベータ」である。

RIMG0052.JPG

交通バリアフリー法をうけて、各地の鉄道駅のホームまでのエレベータが急速に整備されている昨今ではあるが、既存の駅、特に地下鉄の駅では、スペースに限りがあるので、コンコースとホームとをつなぐ垂直な穴を開ける位置を探すのは非常に難しい。

池尻大橋駅では、メインの改札口の前に、上下線それぞれのホームにつながる位置に、専用のエレベータが設置されている。本来ならば、改札の内側にエレベータを設置するところなのだが、そうはできなかったのであろう。二つのエレベータそれぞれの前に、専用の自動改札が、車椅子仕様で設置されている。しかも、エレベータの定員に対応する形で、改札とエレベータの間に助走路めいたランウェイがとられている。コンプライアンスへの意志とタイトな空間とがせめぎ合う中で出現した、トリッキーなソリューションだといえよう。自動改札でなければできない方式だが、この専用改札に二人の駅員が、仁王門よろしく張り付いて、切符を切るハサミの音を響かせる様子を想像せずにはいられない。

あなたはどんなエレベータが好きですか?

2009年02月26日

logue 再始動

logue

仙台クリエイティブクラスターコンソーシアム内の研究会プロジェクトだった「-logue」が、「logue」として再始動している。ダッシュ付きだった頃のインタビューから、さらにAXISフォントの鈴木功などのインタビューが数本追加されている。

もともとはプロジェクトの出自から「仙台」しばりの側面があったけれども、そういう外から来る容器的な枠組みからは脱して、自分たちから滑らかに広がる場の、その地形の微妙な起伏、わずかな段差、裂け目、などをまさぐりあてようと、指先を敏感にしようとている感じ。ダッシュを外したことの意味は、これから徐々に大きくなってくるんだろう。

インタビューはバックナンバーも含めて全部おもしろい。
読むべし。RSSもある。

2009年02月27日

卒業設計、修士設計 外部講評会

学外からゲストジュリーを招いて、卒業設計、修士設計選抜作品の講評会。仙台で活躍されている建築家のみなさんに加え、来年度から非常勤講師をお願いするTNAの武井誠さんにも来ていただく。
今年の青葉賞は加藤拓郎の「海苔」。
ITCD分野からは植木貞彦が青葉奨励賞を獲得。
学内の講評会から選抜されて今日までの期間に、どれだけブラッシュアップできるかも問われている。発表時間は短くなっているし、テーマをよりクリアに説明する技術はますます重要だろうと思われた。

来週末は卒業設計日本一決定戦。
またエントリーは増えているようで、smtの5,6階を両方使った予選審査はしんどいけれど楽しみだ。

2009年02月28日

CADからBIMへ

建築情報教育研究会
CADからBIM、ものづくりへ
― 建築設計教育の新しいかたち

「BIMはプロの道具である、同時に、BIMはド素人の道具である。」
山口先生がそう言っておられたのがなにより印象的でありました。

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