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世界で一番大きい写真展 Rochester Outdoor Museum of Art

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世界で一番大きい写真展 Rochester Outdoor Museum of Art

荒廃した中心市街地のビルの外壁に,大きな写真を数多く貼り出して,観光客を呼び込むとともに住民の誇りを取り戻そうというプロジェクト。9月29日に,その最初の作品,写真モザイクが公開される。webサイトのムービーの最後にチラっと出てくるのがそれか?

Big Picture Rochester (BPR) 最初の試みとなる、この写真モザイクは、ロチェスターの人々から集めた7745枚の写真を使い、20メール×15メールの巨大な一つの写真モザイクを作ろうという企画です。一枚一枚、市民から送られた写真が、小さなタイルとなり巨大な一枚の写真を作り出します。

企画とディレクションは仙台出身の日本人留学生の佐藤研一朗さん。仙台の七夕がコンセプトの源泉になっているという。

このプロジェクトが行われるロチェスターは,コダック本社やゼロックスアメリカ本社があるなど,イメージ産業の都市なのだが,その印象を与えるものが街にはないのだそうだ。写真の街なんだから,みんなであちこちに大きい写真を掲げようぜ,というのは非常にストレートでわかりやすいメッセージだ。仙台の七夕も地元の紙産業との関係があると聞いたことがあるが,こうした企画を地域の産業とうまく接続することができれば,住民の誇りを高めることが期待できるだろう。

しかし,町並みのデザインに地域の名産品を使うのは両刃の剣である。たとえば甲府の「葡萄と武田信玄」のように「名産品」のアイコンを無造作にいたるところで使ってしまって,結果,陳腐化をまねき,シンボルとしての力を消耗させてしまうことがある。「ベタ」ってやつだ。

その点,このROMAプロジェクトは,名産品たる「写真」がメタなシンボルであることに味噌がある。個々の写真は季節や場所に応じて,それぞれにふさわしい内容のものを設置できる。一方で,それらはいずれも「写真」であるという共通性をもっている。メタレベルの関係性で地域性が表現されているから,様々なものと接続していく契機が開かれてくるのである。

これからの成果に期待したい。

ベタでなくメタでいこう

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2006年09月27日 09:38に投稿されたエントリーのページです。

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