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『空間管理社会』

を読む。小野田泰明さんからご献本いただいて一気に読んだ。



阿部 潔,成実 弘至編『空間管理社会―監視と自由のパラドックス』新曜社,2006

たとえばショッピングモールのフードコート。
居心地よくしつらえられているはずなのに,なんだかここは居心地が悪い気がする。でも,それは何故だかわからない。みなとても楽しそうだし,くつろいでいるようにみえる。みなとても自由に振る舞っているようにみえる。しかし,そこには微妙な違和感がある。そういう実感から,本書は始まる。

「自由な空間」のうちで「空間の自由」が抑圧されているのではないか。
それはどんなしかたでそうなっているのか,ということを分析していく。

こうした問題意識は建築の学生たちにも共通している。都市空間の公共性とか自由とか,スケートボードとか,そんなことを問題にしはじめた学生に,「まずこれ読んどけ」といえる本が出たのは実によろこばしい。詳細なブックガイドもあって,この本をスターティングポイントにすれば,たくさんの野道に分け入っていくことができるだろう。

さっそく私もジョン・アーリの場所論などを取り寄せてみたりした。このあいだ買ったスケボーの本もあわせて,これから読むところ。

社会学者はいつも警鐘を鳴らすばかりで,やばいのはわかったけど,じゃあどうすればいいのさ,という素朴な問いには答えてくれないのが不満だ。が,それはそういうものなのかもしれない。応えるのは,デザインの実践者である我々なのだ。

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を「環境管理」という。環境知能シンポジウム2006で東浩紀の発言。規律訓練型から... [詳しくはこちら]

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2006年09月22日 00:46に投稿されたエントリーのページです。

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