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『プレゼンテーションの極意』

を読む。
川崎 和男,『プレゼンテーションの極意』ソフトバンクパブリッシング,2005

いつもながらの川崎和男節。嫌いな人には受け付けにくい文体かもしれないが,私は慣れている。

服装を慎重に選ぼう,音楽を使おう,印象的な最終場面を用意しよう,などといった,普通の「プレゼンノウハウ本」とは違うアプローチから様々な議論が展開される。スマートにプレゼンをこなそうという了見のとは違う川崎のプレゼンテーションにかける気合いが感じられる。

一番関心をもったのは,「AとかけてBと説く,その心はC」という「謎掛け」のフォーマット(書中では「表現ルール」)を提示していることである。「どんなに長いプレゼンテーションでも,伝えたいポイントは,結局のところ,このAとBとCの3つでしかない(p.113)」という。

川崎はABCの順序は入れ替え可能だとする。——謎掛けとしては,AとBは交換可能だが,Cが先になると謎掛けにはならないのではあるが——このABCによって,「かけて,解いて,その心」を示すのだ。プレゼンテーションの中で,ABCを自在に入れ替えていくことで,ダイナミックでありながらポイントを外さないプレゼンテーションをすることができるというのだ。

「AはBである」という言明の形式によって議論をすすめようとすると,往々にして硬直的となり,議論のダイナミズムは失われがちとなる。謎掛けフォーマットによって,三者の関係を相互に置換しつつ議論を柔軟にすすめようという姿勢は,「デザイン」的なものだと思われる。

ここまで書いて気づいたが,謎掛けとはアブダクションにほかならないのだな。なるほどそうか。

さて,この本では繰り返し,「この本を信じるな」というメッセージが発せられる。型を身につけていないままに型破りであることはできないから,まずは型を身につけるべきだとは思うが,型通りではいけないこともまた同時に認識していなくてはならない。何かを学ぶためには,まずこのダブルバインドに耐えなくてはならない。

コメント (1)

naka:

謎かけ=アブダクションというのは、創造的思考の方法論のひとつである等価変換理論でもふれられてますね。
http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Ichikawa010918/IchikawaET010918.html

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2005年07月10日 00:04に投稿されたエントリーのページです。

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