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『本棚の歴史』

を読む。地味だ(笑)

ヘンリー・ペトロスキー『本棚の歴史 』池田栄一訳,白水社,2004

本の歴史じゃなくて,本棚の歴史。中世にあっては,本は本棚に鎖でつながれていた,とか。人はモノとしての書物をいかに取り扱ってきたか,という問題。モノに即したナレッジマネジメント論(とかいうと軽薄にすぎるか。)

この人の本で翻訳されているのは大抵読んでいる。題材はどれも非常に興味深く,博覧強記調査綿密で感心しきり。ただ,文章はダルダルで読みにくいことこのうえない。本書は中でも最高に読みにくかった。

筆者は絵画資料などから往時の書斎の様子などを探っていくわけだが,ここで紹介されているデューラーの版画「ライオンを治療する聖ヒエロニムス」(1492)[p.123]と,同じ作家の「小部屋の聖ヒエロニムス」(1511)[p.124]とでは,まったく別人といってよいほど絵が違う。20年の歳月をへた個人的な技量向上はもちろんあろうが,それ以上に透視図法という新しいテクノロジーの威力と見てよいのではないか。

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2005年01月14日 00:22に投稿されたエントリーのページです。

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