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小商い

ってのがいいと思うんです、と茅原さんが言う。中西さんも、上場を目指すばかりではなく、小さく持続的な商いを続けていくようなビジネスの価値観もアリだと話す。へぇ、飽きないってえますからねえ、と時そば的に合いの手を入れておいて、思い出したのは、エドワード・デ・ボノの『魅せる会話』で、最近読んだ話。

EUでも特に経済的に成功しているというイタリア北部のベネト州。名古屋のような大企業の城下町という成功モデルとは対照的に、ここには11人にひとつという、たくさんの小さい企業が数多く設立されているのだという。なぜそんなにたくさんの小企業が設立されているのか。それは、イタリアには低金利の融資があって、企業設立のリスクが押さえられるからだそうだ。

そこにもうひとつのアイデアを加えると、リスクはさらに軽減出来るとボノは言う。

小さな企業が倒産したとき、その損失額をほかの企業に税額控除として売ることができる、というアイデアです(同じ業種である必要はありません)。この手段は、小企業設立数の現象傾向の歯止めに一役買っています。(p.71)

倒産しても債権者にあまり迷惑をかけなくてすむなら、再チャレンジはしやすくなる。政府は、儲かっている企業からの税収を少しばかりとりそびれることになるが、地域全体として経済が活性化するのなら、トータルな税収はむしろ増えるかもしれない。こういう小商い指向の仕組みと、つぶれまくる新興企業の屍の群れの上で大もうけしている極少数の企業からガバッと税を取る仕組みと、どっちが利口なのか。

# ボノの本のこの部分だけを読むと、倒産の損失を税額控除として売る、というアイデアが、ベネト州で実際に行われていることなのか、ボノのアイデアにとどまるのか、知識のない私には判断がつきかねる。簡単に調べてみたが、よくわからない。もしかしたら、とてもあたりまえのことなのかもしれない。


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2008年04月26日 23:09に投稿されたエントリーのページです。

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