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ノマディック美術館

グレゴリー・コルベールのashes and snow展を見てきた。

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貨物コンテナを現地で調達して建設される巨大な仮設移動美術館。設計は坂茂。
東京はニューヨーク,サンタモニカについで三カ所目の設置地。お台場の東京テレポート駅前の駐車場を敷地としている。

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お台場の茫漠とした土地に立っている。埋め立て地ではあるが,海とのリンクも感じにくい土地である。仮設美術館としては異例の大きさだと思うが,観覧車や斜張橋の間にあって,なんとなく心細げに見える。既存のフェンスの狭い隙間を抜けて横っ面にむかってアプローチすることになるし,神殿めいた正面も前面の引きが足らないので威容を眺める視点にも立てない。この場所への「置き方」は違うのがあるんじゃないかなあ。

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駐車場の舗装面にH鋼の土台が置かれていて,その上に貨物コンテナが市松模様に積み上げられている。端部は半分のサイズのコンテナが使われる。コンテナの隙間の空いている部分にはテントがかかる。内部は暗転を要するため,この隙間は採光には使われていない。

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コンテナを積んだ壁を並行に並べて,切妻のテント屋根をかけ,棟木を紙管のフレームで支持する。これを二棟並べ,その間にHPシェルの谷をなす屋根をかけている。

エントランスは2スパン分の巨大なポルティコ。狭い入口から入ると,内部には紙管の列柱によって,バシリカよろしく身廊と側廊が作られている。列柱にそって大判の和紙にプリントされた写真がつり下げられていて,その間を進むと正面の祭壇にあたる位置で映像を上映している。スクリーンの前では,紙管柱は両脇のコンテナから斜めに立ち上がって棟部分のフレームを支えるようになり,上映に必要な広がりを確保している。

二棟の間の空間はひときわ大きなスクリーンのある上映会場。もう一棟も同じバシリカ形式で,映像の前から戻るように出口へ進む。

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小さな扉をくぐるとミュージアムショップ。余計な雑貨はほとんどなく,超豪華版写真集を筆頭に,コルベールの作品に関するものだけを売っている。

内部は写真撮影禁止。

なにもかも琥珀色に封じ込められたグレゴリー・コルベールの写真と映像は,静かに目を閉じた人々の表情と,カメラ目線の動物たちの表情との対比が印象的。本物の象の肌って毛深くて硬いんだろうけど,なんかスベスベしたものに見えてしまう。ダンサーが踏みつぶされないか心配にもなった。

ボートの上で,女性の手から腕へと唇をはわせていくオランウータンの目つきと上唇は忘れがたい。

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2007年03月25日 14:54に投稿されたエントリーのページです。

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