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motion texture

と題する映像のインスタレーションを,せんだいメディアテークの1階オープンスクエアで見てきた。つくったのはwowlab

Motion Texture

060607 1925~02

メディアテークの映像企画「イメージの庭vol.3 サッカディック・サプレッション」の一連の企画のうちのひとつである。

間仕切りを出して暗転した20m角くらいの会場。暗転してあるものの,二本のsmtのチューブは光を通して屹立している。

4m×3mほどの大きさのスクリーンが3面,床にバラして並べてある。スクリーンと床との間には段差はなく,観客はスクリーンの上にそのまま踏み乗ることができる。それぞれのスクリーンの角には白木のイスが二脚,対角線の位置に中を向いて置かれていて,これにも腰掛けることができる。会場全体に静かに環境音楽が流れている。道具立てはこれだけだ。

そのスクリーンに天井からプロジェクタで映像が投影されている。青空や,ビルの外壁,飛行機の窓からみた下界の景色,幾何学的パターンなどが,必ずしも鮮明でない様子で映し出される。三枚のスクリーンは連動して一枚につながった画像をなすこともあれば,バラバラの画像の場合もある。

その背景の上に,動くものが登場する。魚や飛行機,シダ状の植物の枝,円や矩形,王冠のようなもの?などが,ひとつないし複数,画面の上を移動していく。これらも三枚のスクリーンにまたがって移動したり,画面の内側にとどまったりしている。

そのスクリーンの上を,観客が歩き回る。その影がコントラスト強く,床に映し出されている。

ここからは,映像を見ての私の推測になるが,この動いているスクリーンそれぞれを,天井においたカメラで撮影しているのであろう。そして,撮影されている画面(コンピュータの動画+観客)から,動くエッジをリアルタイムで検出し,ほんの少しの時間差をおいて(これが意図的なズレなのか,計算能力の限界による結果的なズレなのかはわからない)そのエッジを水滴状にぼかすエフェクトをかけている。そのエフェクトを加えた映像が,天井のプロジェクタから投影されている。

だから,画面を動くものがあると,水ににじむような跡が映る。魚も飛行機もシダの枝も,動いている先端部分はその形がはっきりしているけれど,後半分ぐらいは水滴のように滲んで波打つ。スクリーン状の観客も,じっとしていると何もおきないが,ゆっくり動くと,その影の跡が水に滲んで波打っていく。

映像は,動くそばから自身へのフィードバックによって,水に溶けていくように崩れていく。さらにその波紋がまた動くエッジとして検出され,水滴のエフェクトをうけて崩れていく。スクリーンの物理的なエッジもまた,画面の動きとともにエフェクトをうけて,新たな波紋をつくりだす。

二枚のスラブの間に,光のエコーが響きあっている。

観客はその間に立っている。

スクリーンのうえで,ゆっくりと動くと,自分の影の形の波紋が生まれる。早く動きすぎると波紋は大きくならない。ゆっくりすぎてもダメである。ちょうどいい遅さで,ゆっくりと動くと,大きな波紋が生まれる。お風呂のお湯をかき混ぜるように,その水の量にふさわしい動きを発見していく。

泳いでくる魚に手をかざすと,魚は水に溶けてしまう。しかしすぐにすり抜けて,少し先で浮かび上がってくる。

自分の意思どおりにグイグイ映像を動かすのも「インタラクティブ」なんだけれども,こんなふうに環境のもとめるリズムに自分の動きを沿わせていくように,探るように動いてみるインタラクションもおもしろい。

私が入っていったとき,他の観客は皆,最初はイスに腰掛けて,じっくり鑑賞していたのだ。でも私がギクシャクとスクリーンの上で踊って?いるのを見て,他の観客もスクリーンにのって魚を追い始めた。もう少しインタラクションを誘ってもいいのにな。ところで,スクリーンに乗るのに靴を脱いだ人がいたのが,ちょっと面白かった。

コメント (5)

not:

ご覧いただきありがとうございます。

ご推察通り、機材環境は比較的簡単なものです。

常々、インタラクティブ・アートと言われる作品群の反応の単純さに退屈(インタラクション、というものがこの程度に考えられているということにある意味で驚愕)していたのですが、この作品は、複雑ではないが退屈しない、というおもしろい位置にあると思います。

もとえ:

でもなあ,退屈ってえば退屈ですよね。僕はたまたま,背後のロジックはどうなっているのかという関心をもっているから試行錯誤してみたけれども。
自分のアクションがその場の映像を波立たせるにとどまっていて,メタレベルには効いてこないという限界があるように思いました。その構造を理解してもらうインタフェイスのデザインはまた難題ですが。

not:

なるほど。今回はあの場所だけのことにとどめてはいます(中継はありますが)。

今回、お客さんの反応として面白かったことのひとつは、中高年層と小学生に受けたことです。それは、インタラクションというものを、方程式の高度さよりも、「水]「波」といったイメージに担わせたセンスというか、技術の新奇性に感心させるよりも、人類の根源的ななにかに訴えかけているのかなと思いました(インタラクティブということが、ある種、びっくりさせるということになりがちだとすれば、そういう感じの作品ではない)。多くの人は水面で足をぱたぱたと動かし続ける、そして、なぜかそれに退屈することはないのですね。

もとえ:

※重複してたコメントをひとつ消しました。

中高年と子供に受けたってのは面白いですね。子供はともかく,お年をめされた方々がどんな風に動いてみせたのか,ちょっと見てみたかったな。私が見たときには若い女性ばかりだったので,様子が違ったのかもしれません。

もちろん技術的な驚きと退屈かどうかはまた別の話ですね。

not:

あれ?  2006年06月15日 02:11 のコメントは下書きのままアップしてしまったようです。こちらも削除お願いします。


ちなみに、僕が見た、中高年の方の動きとしては、(1)両側のいすに座って足をぱたぱたさせながら話しているご婦人二人。(2)スキップをする中年の紳士。(3)ご夫婦で魚の映像を踏んで歩く。などです。

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2006年06月08日 13:26に投稿されたエントリーのページです。

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