を見てきた。雪の晴れ間を見て出かける。
富山県砺波市内,北陸道砺波インターの近くにある。
木造陸屋根の平屋で外観は穏やかな印象。雪に埋もれた白い建築。
サインを兼ねるスチールパネルの造形が示すように,「ボロノイ図」がモチーフになっているようだ。
エントランスホールや美容院の各ブース,中庭,居室部分のキッチン,リビング,寝室,バスルームなど,単位空間がそれぞれボロノイ図の一区画になっていて,矩形の部屋はひとつもない。
ボロノイ図で書かれた平面を天井高2400ぐらいになるように,そのままCGのモデリングソフトのコマンドでいうところの"extrude"をするとこの建築の形になる。
平面図をみるだけだとベタなボロノイ図なので,ちょっとバカバカしいものに見えてしまうかもしれない。しかし,実際に訪れてみると,ボルノイ分割による空間の分節が美容院の機能と整合していることがわかる。ワンルームの空間でありながら,視線が適当に抜けあって交錯することがない。適度な分節された感じがあるのだ。
不規則な角度でぶつかる壁面の交点は,束ね柱?のようなおさまりになっている。正直にいえば,見た当初は「これはキビしいなあ」と思わずにはいられなかった。
しかし,しばらくこの空間に身を置き,上記のようなボロノイ分割の意味を理解し始めると,この素朴な束ね柱のディテールは,あたかも額縁のように,そこにあるべきボロノイの分割面たる壁面の存在を最小限の要素で表示しているもののようにも見ることができるのではないかと思われるようになった。たとえば,ミースを持ち出すまでもないとはしても,この束ね柱が方向性をもたない円柱であったら,空間の流動性が高まりすぎてしまい,現在の接続されつつ分割されているという両義的な空間の性格は薄らいでしまうだろう。フラットな床と天井に挟まれた空間をランダムな位置の柱で支持しているというのとは全然違うのだ。
追記:
ゼロスタの松川さんにお目にかかって,設計プロセスについて聞く機会があった。
これ,幾何学的には「ボロノイ分割」とは似て非なるものだそうだ。正しい名前はないそうで,「ま,ボロノイに似たようなもんです」とのことなので,本文はママとしておく。
プランニングのための自作プログラムのデモも見せてもらったが,自分専用だと断っておられたものの,ちょっと触ってみたくなる魅力的なUIであった。
アルゴリズム設計とはいうものの,最適値を計算によって自動的に求めようというアプローチではなく,直感的な形態の探索を論理的な整合性を常に保ちつつ行うことを支援するためのプログラム利用である点がおもしろい。
この建物,当初は各区画ごとに空間の高さを変える(区画の体積を等しくする=狭い部屋が天井が高い)構想もあったようだが,コストの問題で断念したとのこと。残念ではあるが,模型写真を見た瞬間に,そりゃームリだろコレーって感じだった(笑) 形態探索プログラムにコスト算定も組み込んで,予算オーバーを警告できるようにするといいかも。
追記:2006.2.25
佐藤さんが松川さんの詳しい,a href="http://www5c.biglobe.ne.jp/~fullchin/iru/sho/01/01.htm">インタビューと体験記を公開しているので,こちらも要チェック。本人による設計プロセスの解説などもあり。



