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『会議力』

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奥出直人『会議力 』平凡社新書、2004

思考のエンジン』の奥出直人、ひさしぶりの新刊。「会議を効率的に運用してコラボレーション型の組織をマネージメントする方法について簡単に説明したもの(p.211)」なんだが、正直、「簡単」すぎ。まったくもの足らない。


現場の実践レポートとしては、場数を踏んでいるだけあってさすがに説得的である。6つ用意せよというメーリングリストの構成は、なるほどそういう方法があるな、と思うし、「時間のシンクロ」という概念だってすっきり肚に納まるものだ。

ほとんどの知恵が身体化されたままで、なかなか文章にならない。文章を書くと、ノウハウの背後にある理論が前面に出てきてしまい、難解になる。そこで、筆者が三分の二ほど原稿を書いた段階で、執筆作業の方法を変え、すでにある原稿を元に筆者がレクチャーを行い、それを西田氏(引用者注:本書の編集者)が文章化するという手順で本書は完成した。(p.215)

しかし、私の知る奥出のテキスト(ほとんど読んださ)ってのは、身もふたもないような現場の微細なアレコレの隙間から、それらをメタレベルから俯瞰する「背後にある理論」ってやつが思わず溢れ出しているところに痛快さがある。ちょっとばかり「難解」になるからって、こんなにサッパリした構えにしてしまっていいのか。

それにタイトルだってあんまりじゃないか。アマゾンで検索すると85冊もあるじゃん。『○○力』はもういいって。

奥出先生、ご多忙中のこととは存じますが、書店で「やや、奥出直人の新刊だ」と思って中をあらためもせずに購入したファンの期待には、ちょっと応えられないのでは……。

コメント (4)

もとなが:

まあしかし会議についての本が多いこと多いこと。
斉藤孝氏の会議の本も売れているらしいですね。(そりゃ売れるでしょうけど)

もとえ:

それだけ皆会議大杉で酷杉と腐ってるってことでしょう。
でもって会議をよくするための会議とか、たくさん開催されているはず。メタ会議。ヤメタヤメタ

わきた:

この本の方法で(というかこの人と)仕事をしていますが、簡単なわりには結構うまく作用しますよ。

まあ、奥出さんの待望の新刊としては物足りことには同意。

もとえ:

ま、勝手に期待ふくらませといてガッカリだと云われてもなあ、って云われるでしょうけど(笑)それだけ期待してるってことですから。

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2005年01月06日 15:13に投稿されたエントリーのページです。

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