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運転中の携帯、ハンズフリーでも危険

運転中の携帯、ハンズフリーでも危険 工業大助教授実証 - asahi.com : サイエンス:
実験は、運転シミュレーターを操作しながら、前方のライトが点灯したらハンドルのボタンを押すという内容。ライトは運転者の前方180度に十数個が等間隔で置かれ、無作為に点灯する。(1)携帯電話を直接持って通話(2)ハンズフリー器具を使って通話(3)通話しない場合の3通りについて、それぞれボタンを押す反応の速さを比べ、20〜50代の男女24人の平均時間を割り出した。

 いずれのケースでも視野の外側ほど反応時間が遅いが、最も外側のライトへの反応時間は、通話していないときが約1.8秒だったのに対し、電話機を持って通話した場合は4秒超。ハンズフリー器具で通話した場合でも3秒を超えた。

「反応時間」というのがなんだかよくわからない。単純に,ライトが点灯してからボタンが押されるまでの時間かと思うが,だったら1.8秒もかかることはないだろうし。

ともあれ,運転中の電話があぶないのはあきらか。核心は心理の問題であって,「電話を手に持つな」という今回の規制強化は的外れだと思われる。

よくある反論は,同乗者と話すのも危険なのか,ラジオや音楽はどうなのか,だけど,当然危険だろう。程度問題であることはあきらかだから,上記記事の先生には,ぜひ音楽や同乗者との会話の実験もやってみてもらいたいな。

ドナルド・ノーマンの近著『エモーショナル・デザイン—微笑を誘うモノたちのために 』にも,このことが書かれている。ノーマンは,人間が注意をはらう空間,すならち「メンタルスペース」の概念を使って説明しようとする。「電話をしているときは非常に特殊な活動をしている。二つの異なる空間の一部にいることになるからだ。[p.206]」同乗者との会話も同様に危険であるが,電話ほどではないだろう。なぜなら「同乗者に対して作り出すメンタルスペースには,自動車とその周囲が含まれている。これに対して携帯電話のメンタルスペースは,車から我々を遠ざける[p.208]」

同乗者は,ある意味で運転に参加している。運転者とコンテクストを共有しているからである。交差点やすれ違い時など,運転に特に注意が必要なときには,ちょっと間をとったりするだろう。電話だとそうはいかない。

だとすると,テレビ電話のほうがむしろ危険が少ないではないか。

通話の相手を自動車のメンタルスペースに引き込み,運転のコンテクストを共有するのである。車載カメラは運転手の顔を正面から撮るのではなく,助手席からの視野を広角気味に撮るのだ。

誰かそういう研究をしませんか?

追記:
気になるケータイ周辺グッズ 11月1日施行の改正道路交通法に備えよう」という記事があったが,ヘッドセットかスピーカー&マイクで手ぶらにするというものだ。

車に乗るたびにヘッドセットを装着しなくてはならないのは堪え難い気がするが,いつでも電話を受けられるようにしておかなければならない人もいるのだろう。気の毒だな。

一方,車内に通話が流れてしまうタイプは,同乗者がいるときの通話の作法というかプロトコルが未開発だという問題がある。同乗者によっては話せない内容もあるだろうが,同乗者の名前を聞いてから「それなら,あとでかけ直す」とは言いにくいから,どうでもいい話をとりあえずする,という作法が生まれるであろう。しかも,どうでもいい話をはじめた,ということを気取られずにやらねばならない。受信側のコンテクストを無視して割り込んでくるという電話の特質が,車内ではより先鋭化するのであるな。

ヘッドレストで骨伝送というのはどうだろうか。酔いそう。

コメント (2)

もとなが:

同乗者との会話も、他愛のない雑談なら可能なんですが、運転しながらちゃんと考えて話すのは私にはムリです。
以前、車で取材に行くときに「じゃあ車中で打ち合わせながら行きましょうか」と走り始めたら、もう本当に阿呆みたいな受け答えしか出来なかったことがあり、ああ、ダメなんだなぁと痛感しました。簡単な事実を思い出すことすら出来ない。ちょっと脳味噌の不思議を経験した感じでした。

naka:

僕もこれまで白バイのお世話になった時はいつも、あきらかに考え事をしながらバイクを運転していた時でした。
運転中にモノを考えると、注意力が低下するという事実には大いに賛同します(笑)。

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2004年11月04日 07:11に投稿されたエントリーのページです。

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