17.パトリク・オウジェドニーク『エウロペアナ: 二〇世紀史概説』(01/03 00:28)


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白水社
発売日 : 2014-08-21
チェコの作家による、20世紀のヨーロッパ史概説。歴史教科書のような客観的な文体で書かれた、しかし実に手の込んだ事実のテキストのコラージュ。

様々な概念のカテゴリーもスケールも時間軸も、実に自在な足取りでひょいひょいと飛び渡り、ワンセンテンスで広い範囲と長い時間を飲み込みながら、おそらく嘘はないのだろうが、全体として嘘のようなホントの話として語り紡がれていく「歴史」。

皮肉たっぷりにふざけて見せているようではあるが、批判をしようとすると、そもそも歴史を叙述するということは、こういうことでしかありえないのではないかとの反論が返ってきそうだ。

欄外に散りばめられた小見出しも面白いし、脱臼しながら繰り返される単語の列挙の形の流れとリズムは実に詩的だ。チェコ語の原文と照らす力は私にはないが、翻訳は実に滑らかで美しい。「ごろつき」ってチェコ語では何なんだろう。

レイモン・クノーとか、形式が卓越している文章が好きな人にはたまらない。

形式が卓越する一方で、題材として選択されているエピソードは、世界大戦、宗教、バービー人形、共産主義、インターネット、現代科学と情報理論、ファシズム、フェミニズム、ブラジャー、ロマ、2000年問題などスケールこそ様々ながらそれぞれに深刻で切実なものばかりで、此処に個々に相互に孤立しながら羅列された離散的様相こそ実に20世紀ヨーロッパなのにちがいない。この様相は21世紀もなお続いているように思われる。

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