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2019年02月 アーカイブ

2019年02月04日

『FACTFULNESS』

我々は、世界はどんどん悪くなっていると思いがちだが、実はそうではない。基本的に、世界はよくなっている。赤ちゃんが死ぬことは減り、女性も教育を受け、誰もが電気を使い、予防接種を受けられるようになっており、自然災害で命を落とすことも少なくなった。
もちろん世界にはまだまだ問題がある。だが、現状で悪いということと、変化として良くなっていることは両立する。

事実に基づき、
思い込みを排してみれば、
世界はよくなっている。
人々は豊かになっている。
本書は希望を与える。

思い込みのあり方を10の「本能」に整理する。

このようなバイアスを持っていることは進化の結果のように思うが、そう進化してきた野生のヒトと、複雑な社会システムを築き、テクノロジーで自然の進化とは違う道を走っている人間との乖離が、思い込みと事実のギャップを生み出しているのであろう。

社会的に影響力のある、なんらかの意思決定に関わる人、そうなるつもりの人は、すべからく本書を読むことを勧めたい。

今すぐ、でなくていいけどね。

2019年02月12日

『日本人の勝算』

様々な研究成果に基づいて、人口が減少する中で経済成長するために、生産性を向上していかなければならない日本のとるべき政策について提言している。
端的に言えば、持続的な最低賃金の上昇を経済政策として行うということだ。
儲かった結果を事後的に分配することによって最低賃金を決めるのではなく、最低賃金を上げ続けると言うプレッシャーを経営者にかけ続けることによって、企業が生産性を向上していくことを求めると言う政策だ。

日本の人材は極めて有能なのに、所得が恐ろしく低い。経営者にとってこんなに楽なことはない。無能な経営者は、この状況にあぐらをかいている。あるいはこの状況を保つことにのみ知恵を使っていると言う事かもしれない。
最低賃金の上昇にふさわしく生産性を向上できない経営者は市場から退場を求められるであろう。企業は合併されて、企業規模は次第に大きくなっていく。企業規模が大きくなることが生産性の向上に寄与する。この時少なくなるのは経営者のポストだけだ。優れた経営者はこの危機を乗り越える知恵を発揮するだろう。

最低賃金の上昇が失業率の上昇をまねくと言う反論があるが、これは端的に誤解だと、さまざまな研究成果から本書では述べられている。様々な思い込みがこの国を覆っているのである。

「国連の定義では、Entrepreneurとは「市場に変化と成長を起こすような新しい発想の創出、普及、適用を促す人。チャンスを積極的に探って、それに向かって冒険的にリスクを取る人」となっています。」(p.271)
だとすれば、日本で最もアントレプレナーシップに欠けているのは、これから企業を起こそうとする人たちなどではなく、すでに企業の経営者に収まっている人たちだ。彼らの怠慢が日本の生産性を極めて低い状態に押し止めているのだ。

やらなければならないことがこんなにクリアなのに、これが実現できそうな気があんまりしない。でもあきらめてはいけないだろう。

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