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2007年12月 アーカイブ

2007年12月03日

帰国しました

本日から出講します。

建築設計A1 最終講評会

街中のファッションビルの「ペントハウス」と、田園郊外の「オモヤ」とのマルチハビテーションを前提として、それぞれの住宅+αを自由に企画して設計する課題。二年目。

途中、海外出張があったりして、十分にエスキスしたわけではなかったけれども、力作ぞろいで安心した。グループごとの講評が盛り上がって長引いたために、選抜作品の全体講評は総評的なものにとどまったのは残念。

おもしろい作品が多くあった一方で、必要そうな機能の部屋を単純にならべただけの作品も散見された。それではいけない。

機能の単純な集積を越えて、まとまった建築の像を結んでいる作品をつくることを意識するとよいと思う。

それができるようになるためには、この「まとまった像」を結んでいる建築をたくさん見ることだ。そして、その像を小さくスケッチに描いてみる。ダイアグラムでもいいし、パースでもいい。それから、文房具やカトラリーなど手近な品物を並べて、その建築を表現してみる。体を使って動作で表現してみる。ひとりで突然やると周囲の人がビビるから友達と一緒にやろう。

自分がつくってる建築でもそれをやる。小さく小さく全体像を描いてみる。それは建築の似顔絵とでもいうべきものだ。うまく似顔絵になるだろうか。

もっとも、うまい似顔絵にしてもらえるような、まとまった像をもったような建築をつくるということと、その特徴をよくとらえた似顔絵を描く能力を持つということは別のことで、後者の獲得にはまた才能と努力を要するものであろう。

私が建築の勉強をはじめたばかりのころ、大学の二年生で、ほぼ初めての建築の設計の課題。東京の動坂公園という傾斜地にコミュニティセンターをつくる課題だった。私は、シェルの大屋根と螺旋状のフロアを組み合わせたものをつくった。その講評会で、まあいろいろ言われたのであるが、ひとつ鮮明に覚えているのは、当時助手だった大野秀敏先生が、手元の学生の名簿の狭い欄にひとつづつ作品の小さなスケッチを描いていたことだ。

もちろん私のもあった。しかし、それは私が全然考えたこともなかった視点からみた全体像であり、しかも建築の構成上の特徴を適切にとらえていた。あー私の作ったのはそういうことだったんだーと、その切手よりも小さなスケッチを見て理解したのだった。

プロジェクタひとつで円筒スクリーンへの投影

オリンパス ニュースリリース: フルハイビジョンで全方位動画像の撮影・投影が可能に

via 京都・日本・世界の最新パノラマムービー情報:QTVR Diary: オリンパスのパノラマ技術「フルハイビジョンで全方位動画像の撮影・投影が可能に」( design studio "PENCIL" )

2007年12月05日

いまどこ?新幹線マップ

「いまどこ?新幹線マップ」を公開しました - 那由多屋 開発日誌

GoogleMpas上で、現在走っている新幹線をプロットしてる。動きます。
新幹線、速ッ


2007年12月08日

EXtreme OFFice #3 最終回

京都工芸繊維大学での講義3回目。最終回

オフィスに求められる様々な機能について、オフィスとは違う分野でその行為について非常に深く追究し実践している人に取材して、その方法を引き出し、その知見をもって極端に機能的なオフィスのエレメントを再設計してみようという課題。

ブレスト、突撃取材の成果をうけて、デザインの提案。

  • PCの作業環境の写真を定期的に撮影するシステム
  • 扇型のスケッチブック。描いたら丸めて円錐にして、カードのシャッフルとはまた異なる作法で動かせる。
  • 小規模デザイン事務所やインハウスデザイナーのためのインキュベーション施設
  • ランチミーティングを情報化するテーブルとマグ
  • オフィスの中に「土手」をつくる
  • 好みの読み物、音楽、光の状態を自動でセットしてくれる休憩スペース
などが提案される。

それぞれに面白いところはあるものの、オフィスのありようを十分に異化することができず、まずは無難な感じのものにおさまってしまった感じで、少々ものたらない印象が残った。

ディテールに踏み込んで考えないと、インパクトのある提案は難しいよなあと思う。これは必ずしもディテールまで作り込んで提案せよ、ということではない。そのアイテムが使われる状況を十分具体的に隅々まで想像することができているかどうかという、想像力の問題だ。

中間チェックもできない進行であったので、限界はあったものと思う。さらなる工夫が必要だと反省しているところ。

みなさん、ごくろうさまでした。

2007年12月11日

催事告知:ハウスレクチャ 2007.12.21 石上純也/建築都市2007総括

年末恒例、拡大ハウスレクチャのご案内です。

ハウスレクチャのご案内です。
次回は12月21日(金)19:00から、阿部仁史アトリエ(仙台市卸町)にて、ハウスレクチャ2007年末スペシャルを開催します。
第一部は石上純也氏によるレクチャ、第二部は石上氏、仙台建築都市学生会議アドバイザー、そして一時帰国中の阿部仁史氏も交えて建築都市2007の総括ラウンドテーブルを開催します。
定員50名(先着順)。
参加費は1,000円。
申し込み〆切は12月17日(月)。
申込先:houselecture@a-slash.jp

2007年12月12日

『充たされざる者』

を渡米中に読んだ。




カズオ・イシグロ『充たされざる者 (ハヤカワepi文庫 イ 1-5)』

文庫一冊で900ページ超にわたって、時間が進まないままの薄暮が続く。
カフカとか、百年の孤独とか、そういうのが好きだと読める。

2007年12月13日

日本建築学会 第30回情報システム利用技術シンポジウム

にて、下記の2編の報告をしました。

いまだ初期的な段階の報告であるにも関わらず、多くのご指摘をいただきました。
ありがとうございました。

2007年12月17日

『生物と無生物のあいだ』

を読む。平積みのベストセラー。評判にたがわぬ面白さ。



福岡 伸一『生物と無生物のあいだ 』、講談社現代新書 No.1891、2007

生命とは自己複製を行うシステムである。
と、定義してみたものの、すっきりと腑に落ちることはなかった筆者が、
生命とは動的平衡(dynamic equilibrium)にある流れである。
という新たな定義にいたるまでの道のりを、分子生物学の開闢の歴史とあわせて語る。

必ずしも見てそれとわかるわけではない分子生物学の研究プロセスが、波打ち際の楼閣の砂粒とサンゴの粒と入れ替えるというような、詩的な比喩で説明される。一読ではわかりにくい部分もあるが、丹念に想像しながら、文字通り脳裏に像を想いながら読めば、そのイメージはきちんと共有できる。この感じは、サイモン シンの『フェルマーの最終定理 (新潮文庫)』と通じるものがある。もっともサイモン・シンはジャーナリストで、福岡伸一は自身が科学者であるという違いはあり、科学者の方が詩的なわけだが。

本筋とは違うけれども私にとって印象深いのは、都市の描写である。とりわけ、ニューヨークにあってボストンにはないもの、「それは振動(バイブレーション)だった。街をくまなく覆うエーテルのような振動。(p.205)」という指摘と、それに続く空間的イメージの連鎖は、大変に魅力的に読めた。このような筆致が、私には暗い分子生物学の説明においても同じくなされているのであろうと考えることはとても楽しい。

筆者がニューヨークのバイブレーションを感じていたころの、つまり若きポスドク科学者の、生活の厳しさと不安定さについても繰り返し言及がある。ちょうど水月昭道の『高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)』を読んだところでもあり、有期任用の我が身には堪える部分でもあった。

そういう道草の苦味を楽しみつつ、昔習ったままだった私の中の古くさい生命のイメージが、本書を読み進めるにつれてサラサラと更新されていくのは気持ちよかった。

生命とは動的平衡にある流れである。

この定義の素晴らしさは、それが、聞いてしまえば当たり前のことのように聞こえることだ。

マルチタッチ ホワイトボードを作る、Wiiリモコンで。

おおお、これ欲しい!

via Wiiリモコンでなんでもホワイトボードに変える魔法のような動画 : Gizmodo Japan(ギズモード・ジャパン)

2007年12月22日

知的パフォーマンスを向上させる構え

書類書くのはイヤだよう (内田樹の研究室):
今年度の私の採点基準は「そのような知的な構えをとることが、あなた自身の知的パフォーマンスを向上させるか?」という問いのかたちで立てられている。
もちろん、ひとりひとり構えは違う。
恭順で謙抑的になることで知的に向上する学生もいるし、反抗的で懐疑的になることで知的に向上する学生もいるし、知識を詰め込むことで向上する学生もいるし、詰め込みすぎた知識を『抜く』ことで向上する学生もいる。
そんなの人それぞれであるし、同一人物であっても春先と冬の終わりではこちらの着眼点ががらりと変わることもある。
教育も研究も「なまもの」である。

よく言う「人間と環境のインタラクション」ってのを「構え」と言ってみる。少し論点がずれる。そのずれをちゃんと読み取ること。

2007年12月24日

昔から「ゆとり」だった

「ゆとり」が学力低下を揶揄する表現として使われるようになってしまって久しいが、現行の新指導要領になるかなり前から「ゆとりカリキュラム」ってのがあったらしい。

あなたはどの指導要領? ・現代化カリキュラム(1971年〜1979年/昭和46年〜昭和54年)

 戦後最高レベルの指導要領。とにかく学習することが多いうえ、学習内容もハイレベル。

・ゆとりカリキュラム(1980年〜1991年/昭和55年〜平成3年)

 現代化カリキュラムによる落ちこぼれを防ぐために、学習内容を少し削減したもの。

・旧指導要領(1992年〜2001年/平成4年〜平成14年)

 「新しい学力観」のもと、ゆとりカリキュラムよりさらに学習内容を削減したもの。ちなみに月に数回土曜日が休みになったのもこの頃からです。

・新指導要領(2002年〜 平成15年〜)

 学習内容が大幅に削減された指導要領。学校5日制に完全対応しています。総合的な学習の時間が創設されました。

上記ページに、どのカリキュラムで小学校教育をうけたかが生年からわかる一覧表がある。70年代生れの人にはすでに「ゆとり」の名において教育が行われていたのだ。

2007年12月25日

ジャスコで投票

イオン:全国の店舗を選挙投票所に 総務省も了承 - 毎日jp(毎日新聞):

上記の記事によれば、イオングループのショッピングセンターを選挙投票所として無料開放する用意があるという。

駐車場完備でアクセスがよく、行き慣れた場所を投票所とすることで、投票率向上をはかろうという期待がある。イオン側には来客数の増加と、投票ついでの買い物にも期待できる。

しかし、下記のような指摘もある。

ただ、イオンの創業家は岡田克也民主党元代表の実家であることにも注意する必要がある。森元首相が「無党派層は寝ていてくれればいい」と発言して批判を浴びたように、一般的に投票率が上がるほど野党が有利になり、投票率が下がるほど自民党が有利になると言われている。民主党としては投票率を上げることが、自身の得票を伸ばすことに繋がるわけだ。

さて、ジャスコが投票のついでに買い物してくれた人に5%引きサービスといったキャンペーンを投票日に行うとしたらどうだろう。投票率の向上とともに、民主党の得票が増加することが期待される。キャンペーン対象商品を注意深く選べば、民主党の支持基盤である都市型無党派層のみを選択的にジャスコに誘導することも可能かも知れない。

ジャスコで投票が可能に - A Successful Failure

「うがった見方」とばかりはいえないだろう。
ショッピングセンターが選挙で使えるメディアになる、ということなのだ。

民主党とイオンの関係もさることながら、より一般的に、大規模商業施設は常に政治的に微妙な立場に立たされ続けている都市施設だから、露骨でなく、それと気付かれない形で、より自分たちに有利な政党を応援しようとする可能性は常にある。というか、それをやらないなら、店舗を投票所に利用させるメリットなどないだろう。

とすれば、うちも投票所にどうぞ、と言い出す機関が続出するのではないか。
宗教施設、パチンコ、病院、コンビニ、郵便局、専門学校、それに大学など。

情報デザイナーのための新しい市場が登場することになるかもしれない。


2007年12月28日

御用納め

今年もお世話になりました。
続けてきたことを続けられたりやめにしたり。
新しいこともはじめました。成果はこれから。
ありがとうございました。
よいとしをお迎えください。

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