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2006年09月 アーカイブ

2006年09月06日

良品計画、イデーの全営業権を譲受

良品計画、イデーの全営業権を譲受−新会社設立 - シブヤ経済新聞 - 広域渋谷圏のビジネス&カルチャーニュース:
良品計画(豊島区)は9月1日、家具製造販売のイデーの事業を譲り受け、新子会社「ニューイデー」を設立したことを明らかにした。

ほほぉ

良品計画のプレスリリース

MashStar

MashStar | 準備ゼロの最強プレゼンテーション!

テーマを入力するだけで,たちどころにそれっぽい資料を集めてプレゼンのたたき台をつくってしまうマッシュアップ。
ここまでは機械でサクっとできちゃうわけだから,ここから先にどんな話を接続できるかがオシゴトなのだ。

via 観察と記述(2006-09-06)

2006年09月07日

駐車場問題の最終的解決


2006年09月09日

六角橋

日本建築学会の大会が神奈川大学で行われた。私自身は発表はしなかったのだが,あれこれとお役目があり,三日間神奈川大学に通った。

神奈川大学は東横線で横浜から三つめの白楽駅から歩いて15分ほどなのだが,途中にある六角橋のまちが実に面白いところであった。

ネットで散見したところによれば,かつて六角橋は横浜の市電の北の終点であり,これよりさらに北の地域——現在でこそ港北ニュータウンなどがひらけているが,昔はまったくの農村部だった地域——の人々がここまで歩いてきて,市電に乗り換えてミナトヨコハマに出かけていくという交通の要所だったそうだ。その後,神奈川大学の前身である横浜専門学校が立地するなどして,現在の高密な住宅地が形成されていった。住宅だけのためにつくられた町ではないから,住宅地であってもいたるところに店舗や飲食店が食い込んでいる。

白楽駅から六角橋交差点まで長く続く商店街があるのだが,これと並行して,ふれあい通りと称するアーケード街が続いている。これが非常におもしろい空間なのであった。場所はここ


P1010154

間口一間ほどの極小の店舗が,狭い通路に沿ってびっしりと並んでいる。食品店や洋品店,飲食店のほかにも,ハワイ雑貨店や機械時計専門店,鉄道模型店(その筋では有名な「だるまや」)などマニアックな店もあり,またあきらかに古くさいやる気レスなものから今風の紅茶専門店やシルバーアクセサリ店など,実にバラエティにとんだテナント・ミックスになっている。

通路には屋根がかかっているが,部分によって木造の洋小屋だったりテントだったり鉄骨だったりする。おそらくは度々火災にあってその都度屋根をかけ直しているのであろう。実際,途中に敷地二つ分が更地になっているところがあって,まわりの様子から見て火事の跡と思われた。この部分のアーケードは最小の単管足場材で絶妙に支持されていた。この仮設の架構もいつのまにか定着し,アーケードの混合架構コレクションの新たなアイテムとなるに違いない。

六角橋はひたすらリニアに長い。たぶん150mぐらいあるだろう。この通路はゆるい坂になっている。しかもただの坂ではなくて,間口の小さな店の床にすり付けるためにいちいち細かく調整されていて,人工微地形になっている。この勾配と微妙なデコボコが,通路の単調さを退け,方向感覚を与え,歩き心地をおもしろくしている。

便所は共用でアーケードから横に入った路地にある。中でもアーケードの白楽駅寄り終端部にある便所は,建物の隙間をクランクした先の坪庭にあって,絶妙なスケールの空間をもっている。こうしたスケールをヒューマンスケールという。さまざまな主体が空間というごく限られた貴重な資源を奪い合う時,人が通れなくなっては元も子もないというギリギリの譲歩によって,やっとすれ違えるだけの通路と視界が確保される。人間の寸法ギリギリのスケールだから,ヒューマンスケールというのである。

多数の主体が空間を奪いあい,お互いがギリギリの譲歩をすることによって共用の空間が確保されるという構図はどの都市空間でも同じなのだが,ギリギリの基準を何にするかは違っている。ひとりの人間ギリギリと,消防車ギリギリ,ヘリコプターギリギリ,重機ギリギリでは全然寸法は違う。消防自動車ギリギリの空間は歩行者にはブカブカで間抜けだが,逆に消防車で乗り込んでこそ味わえるピッタリフィットが気持ちいい空間というのもあるはずなのである。ちなみに郊外のロードサイドショップの空間は「運転に自信のないおばさんの乗用車ギリギリ」に作られている。もちろん,日本の多くの建築空間は,建築基準法ギリギリに作られている。

さて,六角橋の非常に近接性の高い緊密な空間は,近所付き合いのあり方とセットでないと持続が難しいだろう。ある店の店主がふと何かを思いついた表情になって自分の店を出て,スタスタスタと三歩で斜向かいの店に入るや否や「だからさあ……」と話を再開する場面に出くわした。斜向かいの店の亭主もみじんも驚きもせずに再開された話にのっていく。店の内外境界や道路を挟んで空間は分節されているのだけれども,会話の時空は宙づりにされたままになっていたのである。パーティションで区切られたオフィスのほうが,よりくっきりと分節されているのではなかろうか。

商店街には公式ホームページもあって,悪乗りとも思えるイベントも盛んに行われているようだ。

心残りは,六角橋交差点に近い鯛焼き屋さんの上鯛焼きを食べ損ねたことだ。作り置きの「並」とは異なり,特製の餡を用いた上鯛焼きは注文を受けてから焼かれるので10分ぐらいは待たねばならないという。値段も1.5倍する。興味はあったが,建築学会のお役目に遅刻ギリギリだった私は並をかじるよりなかった。今度はゆっくり行って,上を試したいと思う。

参考サイト:
六角橋
六角橋 - Wikipedia

2006年09月11日

『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

を新幹線でさくっと読む。


平野 啓一郎『本の読み方 スロー・リーディングの実践』PHP新書,No.415,2006

アンチ速読本。
本はいろいろ考えながらゆっくりじっくり読むとためになるよ,と。
ま,そりゃそうだ。

p.40あたりでフォトリーディングも批判されているが,写真のように見ていって,それで内容が理解できている,という要約になっているけど,これはさすがに舌足らずでずるいだろう。『考具』にも書かれていたけど,フォトリーディングは本を何度も読むことになるのが味噌なのにな。

たしかに,まずい速読が「作者の言わんとするところを理解するのではなく,単に自分自身の心の中をそこに映し出しているに過ぎ」ず,「多く本を読めば読むほど,自分の偏ったものの見方が反復され,視野が広がるどころか,ますます狭い考えへと偏っていく」傾向をもっているのは確かだろう。(p.42)

しかし,経験からいえば,なじみの字面よりも,むしろ見慣れない違和感のある言葉の方に,強く印象が向かうものだ。違和感に注意せよ,とは平野も主張していることだ。

ただし,違和感に注目できるのは,集中できてうまくやれている時だけだ。疲れていて気が散っていたりすると,平野のいうように,触りのいい馴染みの字面ばかりを拾っているな,と感じる時がある。これはもう失敗。こう感じるようなら,その時は速読はもう無理だから普通に読むしかない。

鴎外やカフカを例にして,丁寧に読んでいく実践編は,小説をじっくり引きつけて読むことの入門として,面白く読んだ。

だから,何も速読を仮想敵にしなくてもいいのになあと思う。早く読んだり,ゆっくり読んだりすればいいじゃん。スローフードの考え方には共感できるのに,おまえの食ってるのはジャンクだって言われるとカチンと来る。それと似た感じがした。

2006年09月12日

ADSL 減りはじめる

光ファイバーにくわれて,ADSLが契約数を減じ始めたというニュース。

ADSL契約数、初の減少 - 社会ニュース : nikkansports.com:
6月末のADSL契約数は1449万994件で、今年3月末から0・2%減少。一方、光ファイバーの契約数は今年3月末から15・5%増の630万5597件となった。

これでもかと契約変更を求めるキャンペーンのチラシが届くが,うちはまだADSLのままだ。光に変えても,得られるものが中途半端で,あれこれ面倒を超えてでもぜひやりたいという気にならない。

昨日,材料工学の研究者から,「イノベーションとは桁を変えることだと思う」という言葉を聞いて強く印象に残った。量の問題だけだとイノベーションとは言い難い。量の変化が質的変化をもたらすには少なくとも桁が変わるぐらいの大変化が必要だということだろう。

家庭用ネット回線についても,アナログ回線+ダイヤルアップ+従量制からADSL+常時接続+定額制への変化は文字通り「桁違い」な感じがあったけれども,光への変更は桁が変わる感じはしない。そこがものたらないところだ。デジタルテレビもそんな感じ。

もっとも,こういう「桁違い」を求めてしまう気持ちは,かかる女時にふさわしくない気もするけど,その記憶が鮮明な人たちがいる間はしかたないだろうな。桁違いのイノベーションなど実感がないという世代が何世代が続いてはじめて,中世のような時代が来るんだろう。

いやぁ,よかったねぇ,おめでとう

Marketing Alternatif | Street, Buzz et Guerilla Marketing » Une saga originale pour l’automobile !

笑った。スバルGJ。
トヨタが燃費でもう一枚割り込んできたところに,フォードでオチってのはどうかな。

via nisshi.yugop: コール&レスポンス

2006年09月13日

プロダクトでたどる自分史

プロダクトでたどる自分史

プロダクトによる風俗年表。
おお,これこれ!あったあった!
うちにあったなあとか,
欲しかったなあとか,
買ったなあとか,
まだもってるなあとか。
懐かしすぎ。

新人類後期の私です。

実物集めて展覧会やればいいのになあ。
どっかものすごく長ーい会場で。

2006年09月14日

空き大型店舗への市庁舎移転に修正動議可決

むつ市、空き大型店舗に市庁舎移転?という話,議会の反対で頓挫の方向らしい。

性急な杉山市長の姿勢に反発した議員側から「説明や議論が不十分。財政が厳しく、急ぐべきではない」として修正案が提出された。  続く討論では、原案に対して一人が賛成、二人が反対意見を述べ、修正案の採決に入った。出席議員五十八人による投票の結果、賛成、反対とも二十九票となり、最後に宮下議長が採決した。  本会議後、杉山市長は「頭の中が真っ白だ。前に進むか、退くか分からない。善後策はこれから考える」と意気消沈して語った。
旧SC取得費を再提案するかについては、質疑の中で「否決になると、二度と提案できる性格のものではない」とも答弁しており、同問題の行方は不透明だ。

……残念。

Google Earth,日本の都市にも3D建築を建立

ピクチャ 2


Google Earth Blog: 3D Buildings in Cities All Over Japan in Google Earth

大ざっぱではありますが,Google Earthの日本中の都市に3D建築モデルが出現。

例によってエリアに原則があるわけではなく,目に付いた部分を適当にモデリングしているように見えますが。

では,初心者向けクイズ。これどこだ?

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天理はモデリングされてなかったよ。

仙台は中心市街地のみ。卸町はごく一部の建物だけでした。こういうマス模型的な精度であっても,仙台だってことがはっきりわかる場所ってどこを選べばいいのかな。

2006年09月16日

暗黒大陸

元永さんのプラグインで,簡単ノリの地図。透明度もスライダで調整できるぞ。

主役不在
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物理的ファイアウォール
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まわりとグリッドが振れている台東区千束四丁目
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Googleはどうやってこのモデリングをやったんだろうなあ。
なんらかの自動的な方法でやったに違いないわけだけど,航空写真から建築の輪郭だけ抽出するなんてことができんのかな。
角度の違う写真が二枚あれば,ステレオ写真式に高さを取り出すことはできるのではないかと想像しはするものの,具体的な手順はわからない。

関連:あんまり情報は増えないが……
スラッシュドット ジャパン | Google Earthの拡充と日本語化

2006年09月19日

Wii Preview 社長プレゼン全容(動画)

2006.9.14 Wii Preview - Wii

ジョブズじゃなくてもプレゼンの全部を動画で公開する時代になったのだなあと,内容とは違うところで感心してしまった。マスメディアが編集した情報しか手に入れられなかった時代とはずいぶん様変わりした。

中身はこれから見るところ。

Macだと動画とスライドの同期表示ができないので,できればWinで見るべし。

Wiiは,リビングのテレビをネット接続して,毎日朝起きたら電源を入れるマシンになろうとしているんだな。これって先日発表されたアップルのiTVとかぶるコンセプトだ。

しかし¥25,000はちょっと高いなあ。
PS3がふざけた値段を公表したせいだと逆恨み。
ソニーらしく後出しすればよかったのに。

2006年09月20日

Atlas Gloves

http://atlasgloves.org/wp-content/uploads/2006/05/atlasgloves_diy181.jpg
Atlas Gloves: A DIY Hand Gesture Interface for Google Earth

これは,まさしく「手作りマイノリティレポート」でしょう。
トムクルーズに似てなくもないかもしれないw
光るピンポン玉ってのもイイ!

Wiiのリモコンで操作できればそれもいいかも。
GE for Wii,出るといいな。

via 安藤日記

2006年09月22日

『空間管理社会』

を読む。小野田泰明さんからご献本いただいて一気に読んだ。



阿部 潔,成実 弘至編『空間管理社会―監視と自由のパラドックス』新曜社,2006

たとえばショッピングモールのフードコート。
居心地よくしつらえられているはずなのに,なんだかここは居心地が悪い気がする。でも,それは何故だかわからない。みなとても楽しそうだし,くつろいでいるようにみえる。みなとても自由に振る舞っているようにみえる。しかし,そこには微妙な違和感がある。そういう実感から,本書は始まる。

「自由な空間」のうちで「空間の自由」が抑圧されているのではないか。
それはどんなしかたでそうなっているのか,ということを分析していく。

こうした問題意識は建築の学生たちにも共通している。都市空間の公共性とか自由とか,スケートボードとか,そんなことを問題にしはじめた学生に,「まずこれ読んどけ」といえる本が出たのは実によろこばしい。詳細なブックガイドもあって,この本をスターティングポイントにすれば,たくさんの野道に分け入っていくことができるだろう。

さっそく私もジョン・アーリの場所論などを取り寄せてみたりした。このあいだ買ったスケボーの本もあわせて,これから読むところ。

社会学者はいつも警鐘を鳴らすばかりで,やばいのはわかったけど,じゃあどうすればいいのさ,という素朴な問いには答えてくれないのが不満だ。が,それはそういうものなのかもしれない。応えるのは,デザインの実践者である我々なのだ。

サビオあるいはリバテープ

テレビで「水曜どうでしょう」を見てたら,ケガをした大泉さんが「サビオ持ってる?」と聞いていた。文脈から絆創膏のことだとわかったが,サビオって何だよって思ったのを思い出した。鉄男と関係あんのか,とか。

呼び名で分かる:地域編 出身地を推測できる「ばんそうこう」−家庭:MSN毎日インタラクティブ:

富山では確かに「キズバン」っていうときがあるな。

関連:日本の標準タロウ 傷口に貼るヤツ

via [N] 「ばんそうこう」で出身地が分かる?

2006年09月24日

萌えボイス

萌えボイス- 声優さんに好きな文章をよんで読んでもらおう!

via fladdict.net blog

塩釜

午前中の運動会を終えてから塩釜に出掛ける。

菅野美術館で阿部仁史"RAINBOW"展を見る。期間が10月1日まで延長されている。上りと下りで色が違って見える。肉眼の色彩補正能力の限界を実感する写真では絶対に見えない光。色ってなんだ?? エレベータにもぜひ乗ってM2のドアも開けてみよう。

港に近いアートスペース,ビルド・フルーガスにも立ち寄る。今年オープンしたばかりのギャラリー。区画整理が進行中の周辺は空地が目立って殺伐としているが,新鮮な勢いを感じる場所であった。

こういう場所は複数あって,めぐれるようにならないと力を発揮しにくいものだ。ぜひとも連携をすすめて,塩釜のアートシーンが盛り上がることを期待したい。

ビルドの高田彩さんも言われていたが,それらしいカフェもあるといいんだけどなあ。

塩竈神社にお参りして帰宅。

2006年09月25日

『IDEA HACKS!』

を読む。



原尻 淳一, 小山 龍介『IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣』東洋経済新報社,2006

さくっと読めるノウハウ本。pp.8-9の概念一覧表を見てHackどうしの濃密な関係性の所在に期待したのだが,小ネタ集的な印象の方が強かった。文章の練りが足らないのか,相互に響きあう感じもあんまりしないのは残念。全体的に急いで作ったって感じ。

p.195に,『白雪姫』のアニメ映画をごく短い幼稚園児むけの絵本にする能力に感心したという話が出てくる。いわく,「園児向けに編集するには,まず,映画のキーとなる場面を選定し,限りなく情報をそぎ落とし,圧縮させているのです。さらに,伝えたい内容を要約し,それを読み手に合わせて変形させているのです」。

これは,ユーザ中心の編集デザインということでデザインの課題にできるかもしれないなあと思った。たとえば,長編漫画を8ページぐらいの絵本に再編集する。絵は切り貼りで文章は書き直し。特定の読者にむけて演出を先鋭化させてみるというような。

あわせて古平正義らの『SCHOOL OF DESIGN(スクール オブ デザイン)』も買ってきたので,これから読む。

2006年09月26日

身近なテーマで「FM」感覚を磨く

というエッセイをJFMA Current 第120号に寄稿しました。

JFMA Current は日本ファシリティマネジメント推進協会が発行している機関誌ですが,この号は法人化10周年記念特別号「拡がるFM−−そして未来へ」特集となっており,非常に充実した内容です。日本のFMの現状をコンパクトに知るにはまずこれを手に取るべきかと。

拙稿は,宮城大学でやっていたFMの授業の内容を述べたもの。FMの議論は,ともすれば抽象的になりがちなので,ここでは,ごくごく具体的な課題の中身や宿題の内容について書きました。

掲載誌は研究室にあります。

燃えないバッテリ

が届いた。古いバッテリと引き換え。

200609261323

新しいバッテリにだけ,ゴム脚がついていることであるよ。

ひさしぶりにPBG4-12に触ったのだが,やっぱり軽いのはいいな。

MT3.2-ja-2から 3.21-jaへ

セキュリティ上の問題からブログのシステムをアップデートした。
最新版の3.33にするのは面倒なのでパッチだけ。

とにかく最新版にしろ,というのではなく,ミニマルなパッチを提供してくれたのはよかった。

Six Apart - Movable Type News: 【重要】 Movable Type 新バージョンとパッチの提供について

悪いことをした人を叱るのではなく,悪いことをできないようにするという方法

を「環境管理」という。環境知能シンポジウム2006で東浩紀の発言。規律訓練型から環境管理型へと権力のかたちが変化してきているという。

「Googleの強大化」は我々に何をもたらす?——NTTがシンポジウムを開催:日経パソコンオンライン:
 「環境管理」という概念を持ちだしたのは、哲学者の東氏。環境管理とは、「人間を信用しないで、社会秩序を維持しようとする方法」(東氏)で、具体的にはICTを含めた環境側が人間をコントロールすることを指す。実社会を見てみると分かりやすい。20世紀の前半までは、人間に規律や訓練を課すことで、社会秩序を維持しようとしてきた。しかしそれだけでは必ずしも十分ではなく、統一的な価値観で人間をまとめることの危険性も認識されてきた。

 20世紀後半からは、人間の多様性を許容し、価値観を押しつけない社会へと変わってきた。同時に、人間の自由な意志に期待せず、環境側を変えていくことで社会を維持していくという、環境管理型の考え方が生まれてきた。例えば「飲酒運転をさせない」という目的を達成するために、従来の「酒を飲んだら運転しない」という規律だけでは十分ではなく、環境管理型社会に移行しつつある今は「呼気のアルコール濃度が高いと発進させない車を作る」という策が採られるようになってきている。

『空間管理社会』で述べられていた,「自由な空間」に生じる「空間の自由」の抑圧に通じる話。

環境管理的状態=空間の自由が抑圧された状態が不愉快なのは,「信用されていない」と感じるからだろうか。信用されていないことの不快と,自由にふるまえないことの不快。前者は「子供扱いすんな!」ってことだから,子供はそれを不快に思うことはない。

さて,ユーザビリティでいうところの,間違えることのできないデザインというのは,「環境管理」的デザインでもある。たとえば,3.5インチのフロッピーディスクは正しい向き以外では挿入することができないようになっていた(試してみて欲しいところだが,もう身の回りにはないかもね)。「人間を信用しない」というところがキモ。「人は間違えるってことを前提にデザインする」というのは優しいようでいて,人を信じていないわけである。

組織運営がうまくいかないときに,当事者を叱らないでシステムを変えようとしてしまうことがある。そのほうが一般的で抜本的な解決であると考えられるからだけれども,もうひとつは,当事者を直接叱るのは面倒くさいし辛いことであるからでもある。別の言い方をすれば,叱るのは相手を基本的に信じているからで,叱ってもどうせダメだと思う相手を叱ることはない。

最近,誰かに叱られたことある?

2006年09月27日

虚実を混同しやすい性格を利用

友人に自分の母親を殺させた稚内の事件。

「組織の一員」と友信じさせ、母殺させる…依頼の少年 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞):
北海道稚内市でパート職員の女性(46)が高校1年生の長男(16)とその友人(15)に殺害された事件で、2少年の付添人弁護士が26日、記者会見し、長男が友人を「自分たちは『殺人組織』の一員だ」と信じ込ませ、「仕事」として母親殺害を実行させていたことを明らかにした。
 長男は、友人の虚実を混同しやすい性格を「利用」したことを審判や接見で認めたという。友人も26日に旭川家裁で開かれた少年審判で、「殺人組織の存在を信じ、報酬も組織から出ると思っていた」などと述べたという。

ポカーン(@o@)

世界で一番大きい写真展 Rochester Outdoor Museum of Art

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世界で一番大きい写真展 Rochester Outdoor Museum of Art

荒廃した中心市街地のビルの外壁に,大きな写真を数多く貼り出して,観光客を呼び込むとともに住民の誇りを取り戻そうというプロジェクト。9月29日に,その最初の作品,写真モザイクが公開される。webサイトのムービーの最後にチラっと出てくるのがそれか?

Big Picture Rochester (BPR) 最初の試みとなる、この写真モザイクは、ロチェスターの人々から集めた7745枚の写真を使い、20メール×15メールの巨大な一つの写真モザイクを作ろうという企画です。一枚一枚、市民から送られた写真が、小さなタイルとなり巨大な一枚の写真を作り出します。

企画とディレクションは仙台出身の日本人留学生の佐藤研一朗さん。仙台の七夕がコンセプトの源泉になっているという。

このプロジェクトが行われるロチェスターは,コダック本社やゼロックスアメリカ本社があるなど,イメージ産業の都市なのだが,その印象を与えるものが街にはないのだそうだ。写真の街なんだから,みんなであちこちに大きい写真を掲げようぜ,というのは非常にストレートでわかりやすいメッセージだ。仙台の七夕も地元の紙産業との関係があると聞いたことがあるが,こうした企画を地域の産業とうまく接続することができれば,住民の誇りを高めることが期待できるだろう。

しかし,町並みのデザインに地域の名産品を使うのは両刃の剣である。たとえば甲府の「葡萄と武田信玄」のように「名産品」のアイコンを無造作にいたるところで使ってしまって,結果,陳腐化をまねき,シンボルとしての力を消耗させてしまうことがある。「ベタ」ってやつだ。

その点,このROMAプロジェクトは,名産品たる「写真」がメタなシンボルであることに味噌がある。個々の写真は季節や場所に応じて,それぞれにふさわしい内容のものを設置できる。一方で,それらはいずれも「写真」であるという共通性をもっている。メタレベルの関係性で地域性が表現されているから,様々なものと接続していく契機が開かれてくるのである。

これからの成果に期待したい。

ベタでなくメタでいこう

『SCHOOL OF DESIGN』

を読んだ。



スクール オブ デザイン『SCHOOL OF DESIGN』誠文堂新光社, 2006

拙著『プロジェクト・ブック』の類書。いいたいことはかなり共通していて,やっぱり同じようなことが多いのだなあ,と思う。あえて言えば,デザイナーとしていかにひとり立ちするか,という問題意識が強く出ているところが拙著との違い。

気鋭のグラフィックデザイナーたちであるから,ビジュアルはかっこいい。
テキストがやや物足りないように感じるのは,つい喋りすぎる建築業界にいるからか?

ドライヴ

キーを廻せばエンジンがかかる。走ってあたり前。
「アイデアが出ない」っていうのは“故障中”ってこと。

(p.304)

……はやく修理しなきゃ。

トリプルビュー液晶


200609271814

シャープ、3つの角度に異なる画面を表示できる「トリプルビュー液晶」:
2005年7月に発表したデュアルビュー液晶の視野角制御技術をさらに進化させ、一般的なTFT液晶ディスプレイに設けられた「視差バリア」を独自の技術で左/右/中央の3方向に光を分離し、1つのパネルに3つの異なる画面を同時表示できるようになった。

非常に空間的な技術開発。2から3になることで,一気に可能性が拡がる……はずだと思ったが,なかなか「3」であることを活かす使い方を思いつかない。3方向からの視線を受け止めているものってなんだろうな。

- 電車の中でiPodで映画を見るときに,両脇の人に広告を見せる。でもって少しでも映画を安くする。自分は広告を見なくてもすむ。
- 通販のカタログなんかで使う。ディスプレイを手鏡のようにもって動かすと,QTVRのオブジェクトみたいなので,商品の左右からの姿もわかる。QTVRよりは自然な操作感がある。

……などと考えてみるが,この特殊なディスプレイのために,専用のコンテンツを用意しなければならないサービスは厳しいだろうな。

シャープのニュースリリースにあるように,看板や案内図に使って,どこから歩いてきたかによって情報を変えるというのもありうるだろうけど,実際,歩いてくる方角によって違う画像を見せる必要があるのってどんな状況なのか,なかなか想像がつかない。

タテに使って,大人と子供と犬,それぞれのための道案内図とか?

携帯電話とかノートパソコンとか,画面の物理的なサイズが限定されている場合に,非常に広いディスプレイとして使うというのもあるか。ユーザはシャドウボクシングをするみたいに体をくねらせながら画面を見るわけ。マルチ画面切り替えソフトと同じなのかもしれないけど,個人的にあれにはなかなかなじめないので,体を動かすシャドウボクシングのほうがいい気がする。

ただ,月見にせよ花見にせよ映画にせよ,人は同じものを並んで見ることによって,直接向かい合うことなしで互いを「見つめあう」ことができるのだけれど,このディスプレイは同床異夢体験を作り出す装置だともいえそうだ。ちょっと意地悪だけど。

シャープのニュースリリース:
視野角制御型液晶のバリエーションを拡充
業界初 3つの映像・コンテンツを同時表示する『トリプルビュー液晶』を開発

関連ニュース by Google ニュース

Royksopp - Remind Me


Royksopp - Remind Me

ピクセル画風のダイアグラムがこれでもかと登場するアニメがすごすぎて,曲の印象が薄いPV。

via ピクセルでできた街いろいろ - GIGAZINE
↑ここで紹介してる巨大ピクセル画もすごい。

2006年09月28日

ナショジオのMapMachine

ナショナルジオグラフィックスのテーマ地図サービス。

200609281835

Maps - Satellite, Street, Theme Maps - National Geographic

図は人口密度ですが,やっぱり中国とインドだな。

via いろいろ学べる地図サイト : Gizmodo Japan(ギズモード・ジャパン)

2006年09月29日

『ワークショップ 偶然をデザインする技術』

を読む。



中西 紹一, 松田 朋春, 紫牟田 伸子, 宮脇 靖典『ワークショップ―偶然をデザインする技術』宣伝会議,2006

ワークショップを扱った本は数々あるが,「単なるノウハウ本ではなく,その意義に真正面から向き合って,その必然性を問うような」本というのはあまりない。定番は,中野 民夫の『ワークショップ―新しい学びと創造の場』だが,本書もその列に並ぶものではないか。

進化論の木村学説における「中立変異」と「拘束状況の緩和」というアイデアが,本書のコアをなすものである。木村学説が進化生物学的にどのような評価を受けている学説であるのかは私は知らないが。新しいアイデアが生み出される状況を説明するモデルとしてはなかなか魅力的なものだと思われた。とりわけ今日の,女時(めどき)において創造はいかに行いうるか,という問いに答えようとしている。

何回かワークショップに参加してみたりして,これってそもそもなにやってんだろう??と,自分が体験してきたワークショップそのものを中立的にとらえなおしてみるにはよいかも。

10分で読めるように1エピソードを書く

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は、なぜ、あんなに売れたのか?

一節を読むのにかかる時間をストップウォッチで計りながら書くってのはすごいな。

1エピソード800字とか文字数でまとまりを考えるというのは聞いたことあるが,読む時間で計るってのはなんだか新鮮だ。結果は同じなのだとしても,文字数ベースで考えるのと時間ベースで考えるのとでは,まったく違うものが見えてきそうだ。空間を時間で置き換えるわけだ。

だって読む速度は人それぞれだろう?という反論があるだろうが,文字数ベースでまとまりを考えるのだって,頭のバッファの大きさが人それぞれだってことを思えば,同じようなもんだ。

私はなんでもつい,寸法とか数とか量とか,空間系の単位でものごとを計ってしまうのだが,時間にするとどうなのか,ってのを気にしてみるようにしようかな。

このエントリーを書くのに10分かかりました。
読むのは10秒もかからないけどね。

About 2006年09月

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